3 そそり立つ壁
早くもサブタイトルを考えるのに挫折しそうです。
そこは、不思議な場所だった。
足元は、先ほどまでいたダンジョンと変わらない草原だが、半径1米程度の円状にしか存在しない。空もそうだ。頭上にしか存在していない。まるで井戸の底のようだ。
その周囲には真黒な岩のようなものが、そそり立っている。
この岩には見覚えがある。
ダンジョンの迷路層の壁と、同じ材質に見える。
「これが、ダンジョン?」
コボルドを肩から降ろすのも忘れて、呆然と呟く。
「はい、ご主人様がダンジョンマスターとなられるダンジョンです」
そっかー、コアを吸収しちゃったから、俺がダンジョンマスターかぁ。
あれ?じゃあ、コボルドが死んだ時の様子から考えると、俺の前には、このコボルドがダンジョンマスターだった?
「はい、その通りです!生まれて即、吸収されたんですが、もー大変でした。前のご主人のことをあまり悪く言いたくはないんですが、意思の疎通にも事欠く有様で」
コアはため息を吐くような思考を漏らす。
「一応、何か今までの自分とは違う何かになったという認識はあったようで、群れを外れて意気揚々と歩いていたところで、ご主人様と遭遇しちゃいました」
あー、それで単独行動していたわけね。なんか、哀れだ。
いや他人事ではないけれど。
「僅か一日とはいえ、主従というご縁がありましたので、前のダンジョンではなく、このダンジョンに吸収すべきかと思いまして」
「吸収?」
「はい。見た方が早いですね。遺体を下に置いてもらえますか?」
言われた通り、コボルドの死体を地面に下ろした。
狭いので、ほぼ中央に置くことになる。日がさしこんでいるものの、井戸の中に死体が横たわっているような状況なので、かなり不気味だ。
「吸収します」
コアがそう言うと同時に、コボルドが消えた。
文字通りに次第に透明になっていって、完全に消え失せたのだ。
同時に、円形のこの場所が広くなった。一気に直径が倍ほどになっている。
「さすが、元ダンジョンマスター。たった1日とはいえ、普通のコボルドよりは力素が増えていたようです」
「あー、色々混乱しているんだが、説明してくれるとありがたいな」