表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンは世界だ!  作者: トト
28/134

26 木石

 それから3日間、俺とポールたち(それに隠れてついてきているイシュルとヴァニラ)は、東の平原で探索を続けた。


 魔物を狩って(こっそりと回収し)、魔物が少なくなった場所には、魔物避けの結界石を置く。


 その繰り返しだ。


 ポールたちもパーティとしての戦術が確立して、俺が駄目出しすることも少なくなった。

 そろそろ、結界石もなくなってきたし村に帰還かな。


(そういえば、真木は使わないんですね)


 ココアの言葉に首を捻る。


 真木って葉に棘のある常緑樹だよな。村の畑で生け垣代わりに使っている。


(そう、それです)


 それを使うって、何に?


(結界石って、瘴気の吸収の為に置くんですよね?)


 そう聞いてるけどね。瘴気が薄くなると、魔物の発生が抑えられるのはもちろん。嫌がって魔物が寄り付かなくなるって。ココアの説明でも、そう言ってたよね。


(瘴気が薄くなると、おっしゃる通りの効果があります。ただ、術式を見るに、この結界石の効果は、かなり薄いかと)


 まあ、確かに村でも、気休めって言われるしな。


(そこで真木ですよ!)


 ココアは声を張り上げた。


 お、おう。

 思わず声を上げてしまって、ポールたちにどうしたのかと、見られてしまった。なんでもないといった風に、手を振る、


(真木は瘴気の吸収効果が、樹木の中でもっとも高いんです。しかも、直接魔力に変換するという優れモノ!)


 なるほどなぁ。畑の周りに植えているのは、呪いの類いかと思ってたけど、ちゃんと意味あるんだ。


(もちろんですとも!)


 結界石は、持ち運びのし易さくらいしかないのか。


(いやいや、これはこれで重要な役割があります)


 ほー?


(基本知識ですけど、こっちのダンジョンでは伝わってないんですかね)


 少なくとも俺は、魔物避けしか聞いたことないな。


(いいですか?マスター。結界石は、農業には、重要なアイテムです!)


 というと?


(魔物の死体を腐らせたり、焼いたりすると肥料になるというのはご存知ですか)


 知らん。普通、腐る前に瘴気化するし。そもそも、肥料ってなんだね。


(そこからですか)


 その失望した感じやめて欲しいな。一応マスターなのに。


(いや、マスターに失望したわけじゃなくて、このダンジョンの現状に失望しただけです)


 一応このダンジョン生まれの人間としては、地味にそれもきついんですが。


(肥料というのは、畑に撒いて収穫量を上げる物ですね。ごく簡単な説明ですが)


 ほうほう。


(魔物や樹木を腐らせた物や、焼いた灰を使います。糞尿も使えますが、あれは結構難易度が高いので、まあ除外しましょう)


 全部、瘴気化するかダンジョンに吸収される物だな。


(樹木の腐ったものは、若干違いますが、概ねマスターの言う通りです。そこで使うのが、こちらにご用意した結界石です)


 別に用意してないけど、言うだけ野暮なんだろうな。


(結界石の周囲で腐らせたものは、ダンジョンに吸収されません。つまり、肥料として使用可能になるのです!)


 ほう。

 真木の話といい、この肥料の話といい実に有意義な内容だ。


(こんなのダンジョン開拓の初歩なんですけどね)


 ココアが嘆くように言う。

 まあ、今からでも遅くはない。マイダンジョンに至っては、まだこれからだしな。


(そうですよね。この長いダンジョン坂を上り始めたばかりですもんね)


 なんだよ、そのダンジョン坂って。


 なんかココアが左方の空を見上げているイメージが浮かんだが、おそらく意味はないので無視する。


「じゃ撤収するか」


 キャンプ地点の後片付けをしていたポールたちに、声をかける。


「ああ」


 この3日間で大分顔つきが変わった4人が、荷物を持って立ち上がる。


「ところで、ポール」


 村に向けて歩き始めながら、声をかける。

 行きとは違い、4人とも周囲警戒に余念がない。


「なんだ」

「ポールたちが立てていた建物だが」


 そう言うと4人とも酸っぱい顔になる。


「発想としては間違ってないよ」

「え?」


「比較的安全な場所に休息拠点を作るのは、戦力維持を考えて大いにありでしょ。今回は、休息拠点として使わないで、そこに引きこもっていたから問題なわけで」


「なるほど。だけど、しばらくの間は拠点を作るのはなしかな」


 ポールが言い、他の3人も頷いている。


「懲りた?」


「懲りたというか、材料集めが大変過ぎて」


 顔をしかめるポールを見て、思わず笑ってしまった。

 理由が即物的すぎるだろ。

読んでいただいて、どうもありがとうございます。


真木とか本文中に、それらしい植物名とかが出てきますが、現実世界の槇とはまったく関係ありません。

もちろん、ダンジョン坂とお○こ坂も関係ありません。


間違える方がいるとは思えませんが、ちょっと言ってみたかったので…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ