18 伏兵
一方その頃、デレクたちは。というところです。
鳴った共鳴石は、尖兵全員が持たされている物だった。これが鳴るということは、村に危機が迫っているということだ。
俺たちはマイダンジョンに入ると、身支度を整える。
「魔力はどうだ?」
ノマに尋ねた。
「9割はあるってところだね」
「俺は、8割くらいだ」
「ココアと2人で連打してたからね」
ノマの言う通りだ。
俺が意識しないで戦闘中に魔法が使えるというのが、便利過ぎてついココアに頼んでしまう。
「ノマより、四元魔法が伸びたりしてね〜」
俺が密かに気にしていることをシャルが指摘した。
「いつでも前衛と後衛を交替するぞ」
「あー、とにかく共鳴石が鳴ったということは、村がそれなりの数の魔物に襲われているということだ。全員が剣と魔法両方で戦うことになると思うんで、よろしくな」
「ごまかした」「ごまかしたね〜」「ごまかすの下手すぎません?」
ココアまで加わって、ゴチャゴチャ言ってるが、無視する。
つーか、なんでココアが一番辛辣なんだ。
気をとりなおして、村から1時間くらいの位置に設置した出口を使用した。マイダンジョン利用の瞬間移動法だ。
「早速役に立ったね〜」
「まあな。でもどうせなら、もっと近くに出口を作れればよかった」
村に向かって走り始めながら言う。着いた後の戦闘に影響しない程度の速さだが、レベルが上がり体力が上昇したので、以前に比べるとかなり速度が上がっている。
「あまり近すぎて村の人に見られても困る。ちょうどいい感じじゃない?」
「確かにノマの言うとおりか」
そんな事を言い合いながら、草原を駆け抜ける。時折、コボルドやゴブリンを見かけたが、無視だ。
追いかけて来そうな奴らを、投石で足止めする程度である。
走り始めて30分もたたずに、村の近くまで帰って来れた。共鳴石が鳴ってからは1時間程経過しただろうか。
「西門から出撃してる?」
ノマが首を傾げた。
丘の向こうに見える村の西門から、4、50人の集団が出てくるのが見えた。そのまま北の方に回るようだ。
「東門の方かな。大集団の気配を感じるな。たぶんゴブリンだ」
感知に引っかかった気配について伝える。
「もう野外戦闘ですか〜。追い詰められてるのかな?」
「防御柵を突破される前に、防御隊と野戦隊で挟み込みたいんだろうな」
ノマの推測に、シャルも俺も頷いた。
防御柵を壊されてしまえば、あとは数がものをいう力押しの戦いだ。
その前の小細工がきくうちに、出来る事をしておくのは理にかなっている。
「どうする?私たちも迂回部隊に合流する?」
ちょっと考えて、ノマの提案に首を横に振った。
「一緒に行動すると、今の俺たちの実力じゃ悪目立ちする。少しでも目立たないように反対側に回ろう」
戦力を分割し過ぎている気もするが、仕方ない。
「どっちにしても、悪目立ちしそうだけどー」
シャルは肩をすくめてそう言ったが、明確な反対はしなかった。
「じゃあ急ごう。最初にデカい一撃を食らわせたい」
「目立たない、とは」「さあ?」
東門の方に南から回り込んで、待機する。
「いやぁ、思ったより多いねー」
前方のゴブリンの群を眺めて、飄々とシャルが言う。
「500までは、いなさそうか」
ノマにも恐れは見られない。
「村の迂回組が攻撃する前後で、〈火球〉をぶっ放そう」
「おお!派手ですねぇ」
「あ、ココアは防御魔法専門。攻撃禁止ね」
「ええ!なぜですか?!」
「3人で同時に4発攻撃魔法使ったら、さすがに不自然だろ」
「ぶうぶう」
「迂回組が動くみたいだぞ」
東門の見張り楼をノマが指差した。見張りが北の方に合図を送っている。
「よし、じゃあ行くぞ」
読んでいただき、どうもありがとうございます。
正月期間に思ったより書き溜められなかったんでストックが怪しいですが、投稿ペースを崩さないよう、がんばります。
けして某大乱闘ゲームのせいでは(あまり)ないです。お酒の影響は、否定できませんが…。




