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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
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「〈整地〉!」


 シャルがトロルの前に立つと、すかさずその下の地面が持ち上がった。


 ノマの土魔法だ。


 シャルの剣がトロルの首に届く高さになった瞬間、トロルの頭が飛んだ。


 シャル渾身の一刀だ。


 だが、飛んだ頭部からは血が吹き出ているが首からは、血が溢れもしていない。

 それどころか、断面が盛り上がりつつある。


「まだ再生してるー」


 そう叫んでシャルは、土の台から降りた。降りるついでに、トロルの両腕を斬りとばしている。

 のんびりした口調に比べて、やることはエグい。


「〈炎〉よ!」


 俺は火魔法の最も基本的な魔法陣を心象に描き、魔力を充填した。


 トロルの首に高温の炎が現れ、傷口を焼いた。トロルの身体がビクビクと震えている。


「シャル。トロルの命石(ライフコア)を取って」


 そう言いながらノマがトロルを貫く石柱を解除した。


 倒れたトロルの胸を切り開き、命石(ライフコア)を取り出す。

 ビクビクと動いていたトロルが、完全に止まった。


「いやー。さすがトロル。しぶといなー」


 血まみれになった自分に〈洗浄〉をかけながら、シャルがぼやいた。


「まあ、死体をマイダンジョンに取り込む必要がなきゃ、魔法で消し炭にした方が早そうだがな」

「そんな勿体ない!」


 ココアが悲鳴のような声で抗議する。


「だから、なるべく綺麗な死体にしたでしょ」


 切り落とした頭部や腕をマイダンジョンに放り込んでノマが言う。


「トロルなんて討伐報告しない方がいいか。命石(ライフコア)も吸収しちゃう?」

「吸収します!ノマ素敵!愛してます!!」

「いや、あなた(ココア)に聞いてないから」


 トロルの命石(ライフコア)は、満場一致でマイダンジョンに吸収させることとした。

 もともと、あまり目立っても困るので、今回の遠征で倒した魔物の半分くらいは、討伐報告しないつもりだった。

 それでも、以前の実績からすると討伐数が2割増しほどになる。


「だいぶ成長しましたから、そろそろ虫や鳥を召喚してもいい頃ですね」


 ココアはホクホクだ。


「ほう。その次には小動物辺りを召喚?」


 興味深げにノマが尋ねた。


「いえ、その前に森を育成するので、管理者として人類を1、2人召喚した方がいいでしょう。エルフとかドワーフとか」


「エルフにドワーフかー。あまり見たことないねー」

「1層には極少数いるらしいよ」

「へー」

「王家に飼われてるらしい」


「おおう」


シャルに俺、そしてココアはドン引きである。

闇が深いな、王家。


その時である。

我々3人の持っている共鳴石が震え出した。

読んでいただいてありがとうございます。

リアルタイムで読んでいる方は、明けましておめでとうございます。


話の区切りの関係で、やや短めですが平成31年最初の投稿です。

しかし、新年号は何になるんでしょうね。


などと思いつつ、次回からしばらく、デレク1人称ではない話となります。

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