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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
133/134

130 激突その4

戦い始めて最初に思った事は、強くなっている、だった。


以前、一層で試合をした時のエルマーはレベル12、3というところだった筈だ。


今は確実にレベル15を超えている。


1、2層でたまに湧いてくる魔物を狩るだけでは、この短期間で上がるレベルではない。

4、5層で鍛えた訳でもないだろう。


だとすると。


「3層の民を殺してレベル上げか」


相変わらず視界の外から攻撃してくる剣を躱しながら、言った。


「100人も殺せば、結構レベルが上がったよ」


煽るようにエルマーが言う。

こちらの平静さを奪おうと言うのだろう。


しかも。


「1対1じゃないんだな」


後ろから襲ってきた兵士を見もせずに蹴り飛ばした。


俺、20人の兵に取り囲まれでいるんですが。


シャルとノマは、だいぶ離れた所で見物気分だし。3層兵たちからも離れた場所なので、孤立無縁と言って良い。


「卑怯とでも言うかい?」


周囲の兵の攻撃を巧みに利用しながら、エルマーは隙を狙ってくる。


「いや、別に。弱い者が周囲の状況を全て利用しようとするのは、当然の事だし」


実際、俺はそうやって戦ってきた。


つーか、今でも例え相手が弱くても、そう戦っている。戦う以上は楽に勝つ事は正義なのだ。


じゃあ、今の状態はなんなんだって事だが、それは向こうで見物しているシャルたちに聞いてほしい。


「ふざけた事を」


おっと、本心からの台詞だったが、エルマーの気に触ったらしい。


顔が赤くなっている。


煽るつもりが煽られるようじゃ、いかんな。


おっと。

今の攻撃ぱ、エグい角度だった。


攻撃の手順や緩急の付け方ぱ、本当に勉強になる。


だが、そろそろ終わりにしたい。


右手から攻撃してくる兵を切り捨てる。

その瞬間、切られた兵の陰から、エルマーの剣が襲ってきた。

それを踏み込んで短槍で弾く。エルマーの首を飛ばすつもりで左手のナイフを振った。


が、エルマーは後に飛んで避けた。

首筋に傷を負っているが、浅い。


いかんな。人間相手に戦い慣れてない分、トドメを刺す攻撃では、少し力むようだ。


普通の兵士ならともかく、対人特化のエルマーのような相手では、その隙は大きいようだ。


「なんなんだ、お前」


エルマーはエルマーで、ショックを受けているようだ。


「その速さ、人間か?」


すみません。人間じゃありません。ダンジョンマスターです。


心の中でそう言いながら追撃しようとしたが、エルマーは大きく後に下がっていく。


「貴様ら、撤収だ!逃げるぞ!」


そう一声叫ぶと、エルマーは一目散に逃げて行く。

生き残った兵も慌てて後を追っていった。


死者はもちろん負傷者も残した、ある意味見事な程の逃げっぷりだった。

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