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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
132/134

129 激突その3

「やってくれたな、デレク」


完全に崩壊した王国軍を追うことなく眺めていた、俺たちの目の前に秩序を保った一団が現れた。


エルマーと20人程の兵たちだ。


全員が汚れ、疲れきっているようだが目は死んでいない。


「やられたのは、どっちかというと俺たちじゃ?今回、やり返したのは確かだけど」


肩をすくめて言う。


そもそも1、2層が3層に派兵したのが発端だ。手酷くやり返されたからといって、被害者面をされたくはない。


「ふん。まあ最低限の目標の3層を荒らすことは達成された。300人を殺すより、1000人死んだ方が瘴気は溜まるからな。協力感謝するよ」


エルマーは酷薄に笑った。


強がりかと思ったが、そういうわけでもなさそうだ。


「味方の死者も、瘴気の源としてみるとはねー」


シャルが呆れたように言う。


「味方、ね」


エルマーが鼻で笑った。

こういう人とは知らなんだな。開拓村を出た時では、少し暗いが優しい人だった気がしたが。


「ダンジョンでは、弱い者は生きる価値などないんだよ」


「いやあ、それはさすがにダンジョンが成り立たないんじゃ」


ダンジョンの生態系、甘く見るなよ。というマスター目線の反論は、エルマーに全く届いている気配はない。


「お前らにも思い知らせてやるさ」


「この人、何言ってるの?」

「さー?個人的な思い入れで語られても、ちっともわかんないですねー」


あまりと言えば、あまりなノマとシャルの会話に思わず苦笑してしまう。


お前ら、ひどいな。


「そうやって笑いながら、見下していればいいさ!」


だが、エルマーが激昂したのは俺に対してだった。解せぬ。


「お前の両親の命で贖い救った男が、こんな奴だった気分はどうだ?」


一瞬で怒りを消したエルマーが、再び冷笑を浮かべる。


どうだと言われましても。


「別に親父もお袋も、庇う相手を選別してたわけじゃないだろうからなぁ」


「ふん」


俺の答えがお気に召さなかったのか、エルマーが鼻を鳴らす。


とりあえず、この男が歪み出した原因に、親父たちに救われたことが関わっていることは、なんとなくわかった。


だからと言って息子の俺に、絡まれても困るんだが。


だが、エルマーの意見は違うようだった。


「お前らも俺の糧になってもらうぞ!」


長剣を抜いて、切りかかってくる。


迎撃する俺の視界の端で、シャルとノマが頑張れとばかりに小さく手を振っているのが見えた。


ここは、もう少し緊迫する場面では?

読んでいただき、どうもありがとうございます。


火、木で「暗黒神(封印済)に転生したので、全力で暗黒神の復活を阻止します。」を更新していますので、よろしければ、そちらもご覧ください。

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