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ダンジョンは世界だ!  作者: トト
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127 激突その1

最初の動きは、王国軍中央部からだった。


キャシャール伯爵が陣前に立ち、檄を飛ばし始めた頃に兆候があったが、3層軍が歓声を上げ始めたところで、一部の隊が前進を始めた。


それに引っ張られるように、王国軍全体が動き始める。


偶然的で無秩序な戦闘の開始であった。


一方で、3層軍は事前の手筈通りに行動する。


伯爵が陣に戻ったところで、陣前に高さ1米ほどの土壁を〈隆起〉させた。厚さも50糎ほどある重厚な壁だ。


さらにその前方に幅3米、深さ1米の空堀を出現させる。


出発前に、繰り返し行った練習の成果か、見事な地魔法である。


突如、目の前に現れた砦を見ても、王国軍の歩みは止まらない。いや、止められない。


後ろに続く兵士達が事情がわからないため、足を止めないからだ。


先頭の兵士は、後続に押されて否応無く進んでいく。


足を止められないので、矢を射る事もできない。

先頭近くにいる魔法兵は、なんとか攻撃魔法を放ってみたが、集中できないので狙いも威力も甘く、なんら戦局に寄与しなかった。


王国軍の先頭が陣前20米あたりに来たところで、3層軍は次の手を打った。


先頭の足元に〈軟泥〉をかけたのだ。


デレクたちほどの威力がないため、深さ20糎の泥地だが、効果は絶大だった。


先頭の兵たちは足を取られ、転んだり止まったりしてしまう。

だが、後続はすぐにとまる事が出来ない。


大混乱が発生した。


さらに3層兵は、密集地帯に向けて、矢や魔法を放つ。


王国軍の悲鳴が辺りに響き渡った。




「これ、俺たちいらなくないかね?」


王国軍の後方で、俺は我ながら緊張感のない台詞を言った。


王国軍の最後尾から10米ほどしか離れていないが、気付かれるそぶりは全くない。


潜伏3点セットを使っているせいもあるが、例え使っていなくても大丈夫だったろう。


完全に意識が前に集中している。


少し先に指揮官らしい男とエルマーがいたけど、彼らも後ろを気にする様子はない。


声を枯らして叫び続け、手近の兵を捕まえては、何事か命じて周囲に送り込んでいる。


伝令兵のつもりなんだろうけど、なんの目印もないので、一般の兵と見分けがつかない。あれじゃ、命令はなかなか伝達できないだろう。


5層じゃ伝令には腕章か専用の兜を使ってたが、エルマーは知らなかったのだろうか。


まあ、5層でも大規模な戦いって滅多になかったしな。


努力の甲斐があってか、王国軍の混乱が少しずつ収まっているようだ。


「そろそろ、出番かな?」


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