表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンは世界だ!  作者: トト
108/134

105 防衛、独立、そして避難

「まあ少なくとも王は、そんなところを信じているだろうな」


「なんか含みのある発言だね、公子」


「父上とソラスは、もう少し人が悪い事を考えている」


ほほう?


「上層にしかいない兵は、下層の兵に比べてどうしても弱くなるだろ?」


「そりゃあ」「ねぇ」


シャルとノマが頷く。

現れる魔物の強さが違うのだから、


「では、上層の兵を強くするにはどうすれば良い?」


「下層で鍛えればいい。3層の兵のように」


「それは下層の人間に頭を下げなきゃいけないから、連中には無理だな」


「頭おかしい」


ノマの率直な意見に思わず笑った。


「まあ私も同感だがね」


エウォルも苦笑する。


「そんな、頭がおかしい連中が自分の兵を鍛えようと思ったら、どうすると思う?」


「まさか、湧かせるってこと?」


「多分ね」


信じられない思いで言った事をエウォルは、簡単に肯定した。


「わざとダンジョンを荒らして、魔物を湧かせればいい。連中が5層で起きていると疑っている事をわざと起こすわけだな」


「そんな馬鹿なこと」


誰かが力なく呟いた。


「まさか」


ノマがなにかに気付く。


「3層と5層が連合して攻め上る事を疑っているって、そういう事?」


「それを口実に3層に攻め込んで、3層を荒らすつもりなんだろうな」


「だが、それは想像だろう?」


「確かに想像だけどね、層長」


エウォルは哀しげな目で層長を見た。


「2層は、すでに下り階段に兵を集結させている」


「俺たちも、来る途中で確認した」


エーモンが補足した。


「父上は、すでにトリモールからの退避を民に呼びかけている」


全員、呆然として声もない。


「みんなに集まって貰った理由は、これだ」


エウォルは、何故か俺を見つめた。


「防衛と、そして独立について」



◇◇


トリモール外壁から1粁ほど離れた村に置かれた、野戦陣地。


「避難の状況は、どうか」


第三ダンジョン卿改め叛徒の首魁となったキャシャール伯エナルトが、傍らの人物に尋ねた。


「トリモールは、半強制的に避難させましたので領民は残っておりません。3度確認させましたので、確実です」


線の細い金髪の若い男性が、疲れを見せながらも、はっきりとした口調で報告する。

宮廷で失脚しエナルトに拾われた、元ガルテア子爵のソラスだ。


「ここから下り階段までの街道も確保してあります。4層の通過に関しては、5層の尖兵が協力してくれているので、問題ありません」


ソラスは言葉を切った。


「いい話は、ここまでです。問題はトリモールを挟んで反対側の民たちです。トリモールの周囲は、なんとか退避させましたが、それ以上は」


「彼らに頼るしか、ないのか」


エナルトとソラスは、重く口を閉ざした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ