上階の客

　ある週末の夜、目も眩むほどのブランドスーツに身を包んだ、若いカップルが、高級店が立ち並ぶビル街を訪れる。男が案内してみせた、予約制の店は、ほどなくして床が透けて、下階の酒場の様子が丸見えになった。その変わった仕組みに女はすっかり驚いた。自分の男を特別な人間だと思い込むようになった。もちろん、これは女を自分になびかせるための策略であったのだが……。


２０２０年７月１２日　加筆修正を行いました。
２０２０年１２月８日　加筆修正を行いました。
２０２１年２月１６日夜　加筆修正を行いました。
２０２１年１０月２０日　加筆修正を行いました。