ロリBBA派生
コンビニでウロウロしていると、不意に女の子とぶつかった。
「あ、すみません」
「こちらこそ、ごめんなさいでち」
口調においてはともかく、丁寧にお辞儀をしてレジの方へ歩いていく女の子。
背丈は僕とほぼ同じ。その幼顔に、ひと目見ただけでも無垢という言葉が頭に浮かんだ。
ついつい無意識のうちに、そのあどけない少女を目で追ってしまった。
その可憐な容姿に目を奪われたから……という理由は約二割ほど。
あとの八割は、彼女が手にしていた品が、あまりにも彼女とのギャップを生み出していたからだ。
「これ、くださいでち」
「いらっしゃいま……ええっと、お嬢ちゃん? これは……お父さんのお使いかな?」
「いいえ、あたしが飲むでち」
彼女がレジに並べたのは、数本の缶チューハイに、六缶ひとまとめのビールだったのだ。
おそらくバイトであろう店員の女性は、明らかに動揺の色を示していた。
「お、お嬢ちゃん? あのね、お酒は大人になってからでないと……」
「免許証でち」
「ほげぇっ!?」
ぼくも商品を決めてそのやりとりの後ろに並ぶ。
その視点からチラリと見えたその免許証らしきものは、確かに写真つきのなにか。さらには、しっかりとゴールドの帯。
そう、彼女は成人女性だったのだ。
「た、大変失礼しました……!」
「構いませんでち。よく言われるので」
店員の狼狽も寛容に受け入れる様は、まさに見た目不相応。そしてさしずめ、年相応といったところか。
「まだ研修中で不慣れかもですが、頑張ってくだちいね」
「あぁ……ありがとうございます……」
一生懸命にドアを押し開けて、その女の子は店を出ていった。
世の中、見た目だけでは一様に判断できないことが多々ある。
あの女の子もとい女性……さしずめロリBBA属性も、その一だろう。
「ううむ。先入観というものの恐ろしさここに示せり……といったところか」
「えっと……?」
「……おおっと、すまん。考えに耽ってしまっていた」
気づけば、レジを挟んだ向こうで店員が困り顔をつくっていた。
いかんいかん。ぼくもレジに並んでいたんだっけな。
「はぁ。それは良いんだけど……えっと」
「ん?」
「お酒は二十歳以上でないとダメだよ? ぼっちゃん?」
ぼくは静かに免許証を提示した。
「ほげぇ!?」
店員の奇声を聞き流しつつ、ふと考える。
先ほどの女の子がロリBBAなら、ぼくはさしずめ、ショタJJIといったところか。
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