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9.小山さん最期の1日

「僕がBAN処分を食らったのは6月10日です。

この日は邪神の宮殿に新しい敵が来るということで、有給を使って朝から楽しもうと思っていました。

朝6時に更新されるのですごい早起きをしましたね。」

この日がドラクエ生活の最期になるとは知る由もない小山さん。

ドヤれる邪神の宮殿に一番乗りするため、普段は起きない午前5時に目が覚めた。

更新された邪神の宮殿に現れたのはマデサゴーラ。

思ったより難易度は高くなく、あっさりと1~3獄をクリアしてからは、情報収集を行って周回しやすい2獄を繰り返すことに決めた。


「それからしばらく2獄を巡りながら、どの職業で挑むのが一番ドヤれるかなと考えていました。

マッチングする合間に2ちゃんやブログを見てたら、闇耐性100%のパラディンがいいんじゃないかという情報がありました。

見た瞬間にこれだ!と思いました。」

敵が放つ強力な闇属性の攻撃がミス扱いになる闇耐性100%、言うのは簡単だがその装備を揃えるのは非常に困難だ。

パラディンで100%にするためには数千万は必要だろう。しかし小山さんにとっては端金。

頭の上からつま先まで1億Gはくだらない闇耐性を既に所持していた。

RMTで塗り固めた廃装備を倉庫から取り出して身を固めると、ドヤるために再び邪神の宮殿へと向かった。


小山さんがアストルティアから永久に消えるまであと7時間。


「闇耐性100%のパラディンで行った時が今までで一番楽しかったですね。

敵が攻撃を放つ時に仲間を守る【におうだち】をするんです。

攻撃は全部自分に当たるんだけど、闇属性の攻撃は効かないから全部ミスになるんです。

敵の強い攻撃を全部自分が庇ってパーティーに1ポイントのダメージも与えないわけです。タイミングは難しいですが、決まると最高に気持ち良かったですね。

一緒にマッチングしたパーティーの人からは『すげえええ』とか『神パラだ……』なんてコメント貰いましたよ。次に敵が更新されるまでの半月を毎日パラディンで遊ぼうと決めました。」

ずっと邪神の宮殿に籠っていた小山さんだったが、楽しい時間は早く過ぎるもので、時計を見ると午後2時を回っていた。

朝から何も食べていない事に気が付いた小山さんは空腹を満たすために外出しようと思い、1サーバーの邪神の宮殿でパラディンのままログアウトをした。


そこが小山さんの終焉の地となった。


「この日は朝から俺強えええが出来て、ご機嫌でした。

簡単な昼食を摂りながら邪神での活躍を思い出してニヤついていました。

疲れたから今日はもうここまでにして、明日からまた邪神の宮殿に籠ろうと思っていました。

食欲が満たされた後は久々にパチンコでも行こうと思って、近所のパチンコ屋に足が向かいました。

邪神でのパラディンみたいな圧倒的な活躍で勝てるんじゃないかと思ったんですが甘かったですね。

2時間で2万の負けでした。」

諭吉2人をパチ屋に預けた小山さんは、気分を入れ替えるために行きつけの居酒屋へと足を運んだ。

いつものように生中3杯、日本酒3合を飲み、美味しい料理に舌鼓を打った小山さんの機嫌はすっかり直った。


家に戻り、ひと眠りでもしようと考えながらスマホを見ると、メールが届いていた。


____________________


[スクウェア・エニックス アカウント]

サービス永久利用停止のお知らせ


お客様

平素は「ドラゴンクエスト10」をご愛顧いただき、ありがとうございます。


このたび、弊社調査の結果、お客様のアカウントは以下の禁止事項に該当すると判断いたしました。

そのため、利用規約に基づき、「ドラゴンクエスト10」サービスアカウントを永久利用停止したことをお知らせします。


(以下略)


____________________



スクエニから送られてきたメインキャラの死亡通知だった。


3年半に渡る小山さんのドラクエライフ、いやRMTライフに幕が下りた。

彼がこの日までRMT使ったお金は約110万円。

ソフトや引っ越し代、一時期買っていたジェムなどを含めると120万円を楽に超えるだろう。


それが無に帰した。


スクエニにいくら泣いて頼もうが土下座しようが無駄なのは分かっていた。

RMTの永久BANから復帰した人間はいないのだから。


(完)



あとがき



その後の小山さんについて一言だけ。

彼はメインキャラがBANされたこの日からドラクエはプレイしていません。

またドラクエに戻らないんですか?と尋ねましたが、もうそんな元気はないそうです。


さて、小説家になろうにアップしましたドラクエシリーズですが、ひとまず完結です。

予想以上に反響があって驚きました。

取材に協力してくださった皆様、読んでくださった皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。

どうもありがとうございました。

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