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8.月収2億ゴールド

1か月に及ぶ真面目生活から解き放たれた小山さんは、RMTの鬼と化した。

さらに引越延命法を使い、BANのリスクが下がったと思われたことでリミッターは完全に外れた。


「やっぱりRMTは最高だなと思いましたね。

炊き出しに並ぶホームレスみたいに日雇い討伐を何キャラも買うのが如何にバカバカしいか思い知りましたよ。

日替わり討伐で稼げる10キャラ(40万G)分のゴールドなんて、安い業者のRMTレートでいえば200円にもなりませんからね。

でも、真面目にやってた1ヶ月間はBANされた今だから言えますが、無駄ではありませんでした。

1か月やってみて、自分にはとことん真面目な金策は合わないなと確信できましたので、もうRMTやるのに何のためらいもありませんでした。

結局、自分にはRMTしかなかったんですね。」


小山さんの1日はドラクエとともにあった。

会社での仕事が始まると鞄からスマホを取り出し、ドラクエ便利ツールアプリで装備品などの相場チェックを行い、めぼしいものについてメモを取る。この便利ツールチェックは帰宅まで断続的に行われ、掘り出し物はツールで落札した。

新ボスなどの立ち回りチェックのため動画サイトを見ることも欠かさなかった。電池がすぐになくなってしまうので、モバイルバッテリーも2台買った。

そして忘れてはならないのがRMTの相場チェックである。もうこの頃は購入先はクルブシ1択だったそうだが、それでも毎日のレートチェックは欠かさなかった。

安くなったなと思ったらスマホで即取り引きを行う事を繰り返していた。

帰り道は必ずコンビニに立ち寄ってビール3本とおつまみをどっさり買い込む。そして勤務中にRMTした分のリアルマネーを支払う。

帰宅後はバザー掲示板もチェックし、掘り出し物がすぐ買えるように監視を怠らないようにしていた。


RMTを再開した小山さんは、前と同じように自分のメインキャラにゴールドが触れない形でRMTをしていった。

まず業者と取り引きをする運び屋がバザーで欲しい装備を購入、それを自宅のたんすに入れる。

権限をフレンドだけ取り出し可能にしておき、それをフレンドであるメインキャラクターが回収するという方法である。

こうすることでメインキャラの業者との直接取引はもちろんのこと、ゴールドの取り引きすら残さないというわけである。これで欲しい装備を金策せずに手にすることが出来た。


「永い間のストレス……といっても1ヶ月だけですが、RMT出来ないうっぷんがたまっていたので前よりも購入のペースが上がりましたね。この頃のクルブシは1口(10万G)約60円だったと思いますけど、それをじゃんじゃん買いました。

クルブシと取引して驚いたのは、向こうのゴールド運び屋のレベルが93なんですよね。発売から4年近くが経過したことで、業者のカムフラージュスキルも上がったんでしょうね。」


装備の価格が高騰したと言われる現在でも、平均より良い装備を買って冒険を楽しむには億のゴールドは必要ない。しかし、小山さんの頭にはクエストやストーリーを余裕を持って楽しむ事よりも、『如何に珍しい装備を買うか?』どれだけ他のプレイヤーが羨ましがるような装備を手に入れるか?というものが優先された。


「本当に自慢でも何でもないんですが、Wiiの発売日にドラクエを買ってプレイしていますけど、ムービー中はずっとボタン連打しっぱなしなんです。殆ど画面見てないんですよ。

メインのストーリーもどんな話だったか全然覚えていません。

何度かフレンドとストーリーを進めたことがありましたけど、僕だけ連打しているからムービーがすぐに終わっちゃうんで、フレンドから『ちゃんと見てますか?(笑)』って言われたりしました。

僕がなんでドラクエやっていたのかというと、やっぱり強い装備を買うことと初めてパーティー組む人の前でドヤるためなんでしょうね。」

これから出てくるであろう強敵にために、パルプンテでしか付くことがない珍しい錬金効果の装備を買いあさった。どれも高額な値段がバザーで出品されていたが関係はなかった。

持っているゴールドは実質無限なのだから、如何なる装備でも買いそろえることが出来る。

RMT再開した4月は1億2000万Gを手に入れた。

そして、5月1日~31日の間で小山さんがRMTで手にしたゴールドは2億を突破した。

この月に業者へ支払ったリアルマネーは12万円にも及んだという。


だが、小山さんはやりすぎた。


どんなに安心出来る取引先だとはいえ、1ヶ月に2億ものゴールドが動けば運営にチェックされるのは当然である。

しかも過去にRMTで停止を食らっているキャラクターと同じIPからの接続なのだから目立つのも当然である。


月収(RMT)が2億ゴールドを超えた翌月、とうとう小山さんに最期の日が訪れる。



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