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最狂の能力

「ヤンキーグループの撲滅…」

その依頼にはそう書かれていた。


「これは厄介そうですね…」

佐藤が複雑な表情をした。


「こ、今回は星真くん…一人でどうぞ…」

神山はヤンキーが苦手なようだな。


「私も同意見よ…星真頑張ってね…」

神坂、お前もか


「わかったよ!一人で行けばいいんだろ!!」

少し怖かったが、ここで怖気付いていてはこれからの依頼はこなせないだろう。


「星真さん、一応僕もついていきますが、説得ではなく、撲滅ですから全面的な戦いになるでしょう。気をつけて。」

ついて行くけど手伝わないからな。と言う表情をしてやがる。


とりあえず、依頼内容に書かれていた時間帯にそのコンビニへ向かった。


「あれか?佐藤…」

「はい…そのようです…」

あーもう…厄介なことになったな!


「おーい、お前らーなにしてんだー」

そう言いながらヤンキーに近寄る。


「あ?んだてめぇ?見慣れねぇ制服だな?あ?」

ガン飛ばしてきやがった。こいつは怖え…


「落ち着け猿頭。ここの猿の群れのリーダーは誰だ?」

煽りながら、リーダーを出させる。


「俺だが。」

そう言うといかにもなゴリラがウホウホと出てきた。


「お前猿じゃなくてゴリラだろ。」

完全に喧嘩が勃発するパターンだな。まぁ撲滅だし痛めつければいいか。


「あまり頭に乗るなよ?」

「確かに乗れそうな頭の大きさだな(爆笑)」

これは後に引き返せないな。


「…」

ん?黙った?

そう思った瞬間右側から岩のようなものが飛んできた。


「っと、あぶねぇ…今のがグーパンかよ…」

相変わらずの電撃バリアで防御はしたが、直撃したら死んでいただろうなと思った。


「そっちが手を先に出したからな?もちろん俺も同じ方法で痛めつけさせてもらうからな?」

そう言うと俺は佐藤が説明した【筋力(フィジカル)】のゴリラ並みの握力を発現させた。


「うぉ…体力が…」

思っていたより、体力の消耗が激しかった。


「どうした…来ないのか…?」

挑発してきやがった。このゴリラ…


「言われなくとも行きますよっと!」

自分の右腕がゴリラに当たった瞬間、相手のどこかの骨が折れる感覚が腕に伝わった。


「うわ…気持ち悪…」

人の骨を折るのは気持ちいいものじゃないな…


「あれ?ゴリラどこ行った?逃げた?あー吹っ飛んだのかアハハハハ!アハハハハ!」

どうして笑っているんだろうか。

人の骨を折るのが楽しいのか?

いや、違う。何か別のものだ。

何か別のものが俺を腹から笑わせているんだ。


「こ、こいつ…狂ってやがる…」

猿どもが、こそこそ言ってるのが聞こえた。


「狂ってる?ハハハ…そうかもな?狂ってるかもな?だからどうした?ハハハお前らのトップは潰したんだ。グループ撲滅でいいよな?フフ…アハハハハ!」

ダメだ、やっぱり笑いが止まらない。

これも俺の能力の影響か?


骨を折って気持ち悪いと感じてすぐに、笑いが込み上げてきたんだったよな。


まさか、気持ち悪いという感覚を相殺するために楽しいという感覚を学習したのか?

ダメだ…この能力…制御しきれねぇ…


「ひ、ヒィ!化け物だぁ!」

そう声が裏返った猿どもは動物園へ帰っていった。


「アハ…あは…はぁはぁ…」

敵がいなくなったからか効果が切れたようだ。それにしても体力が…もう…ダメだ…


(バタン…)


ん…なんだ?薬品の匂いがするな…

そんなことを考えながら起き上がろうとしたら体に激痛が走った。


「まだ寝ておいたほうがいいですよ。」

この声は佐藤…か?


「ここは?」

「学園の保健室です。」

保健室?ああ、保健室な…ってことは母さんがいるんじゃないか…?


「天崎先生が来たので、僕はこの辺で。」

そういい、佐藤は保健室から出て行った。


「星真?身体大丈夫?」

この声は…?母さんか…?


「この調子だと随分無理したみたいだけど…?」

話が勝手に進んでいく。


「えっと…誰ですか?あまり、よく見えなくて…」

声を絞り出して名前を聞いてみることにした


天崎(あまさき) 琴音(ことね)よ?あなたの母よ?忘れたの?酷くない?」

ああ、やっぱり母さんか…


「母さんか…久しぶり…」

本当に久しぶりだ。かあさんは11歳の頃にママさん旅行なんとかで事件に巻き込まれたという程で、出て行ってから会っていなかった。


「大丈夫?話すの辛くない?」

話が噛み合ってない気がするが、俺の声が出てないのだろう。


「もう少し寝てなさい。友達来るらしいから。」

そうさせてもらおうかな…


(ガタン!)


「星真!!!」

神坂の声だ。

今寝ようとしたところだろ?空気読めねぇな…


「起きなさい!殺すぞ!」

やめてくれ…今死にそうなんだ。追い打ちは頼むからやめてくれ…


「神坂…おはよう…」

ありったけの声を出した


「起きてたんだ…よかった…」

すごく安心しきっていた。


「星真くん!おはよう!」

ああ、神山もいたのか…


「二人とも!ここは保健室です!」

母の注意が響き渡る。


「「は、はぁい…」」

見てて心が落ち着くな…入学して2日だが、いい友達を持ったな…


そして数日後…


「どう?身体は動くようになった?」

神坂がリンゴを剥きながら聞いてくる。


「おかげさまで日常生活程度は。」

そう言いながら腕を曲げ伸ばしして見せた。


「じゃありんごも食べれちゃうの…?」

神山が悲しそうに言う。いや、それ俺へのお見舞いだから、お前が半分以上食ったけど俺のだから。


「紗季さん、星真さんの体調が戻ったんですから喜ぶべきです。」

もっともだ佐藤、やっぱりまともなのはお前だけだ。


「それにしても星真。そこまで体力が奪われることって何をしやがった。」

すごく責めるような、心配するような口調で聞いてくる。


「佐藤の能力を【最弱(さいじゃく)】で学習して使っただけだ。」

さすがにあの狂気とでも呼ぶべき能力のことは言えない。


「なんと、僕の能力を…」

すごく驚いたような顔をしていた。


「なるほど…悠人の能力を…それは仕方ないかもしれないな。

もとより悠人の能力の体力消耗は激しい。

そのため、普通であれば少しずつ使うのが当たり前だ。

ただ、星真はそれを知らず、パッシブにしていたと…」

もちろん、半分以上の体力消耗はこっちではなく狂気の方なのであるが、さすがにこれを口にすると生徒会をやめなければいけない気がするから言わなかった。


「あ!それより明日はクラブ対抗、能力大会ですね!」

ん?なんだそれは。聞いたことないぞ?


「ああ、あれね。生徒会として参加申請出しておいたよ。」

神坂が返事を返す。


「でも、あれは最低人数4人じゃありませんでしたか?」


「生徒会は全員でちょうど4人だぞ?」


「おい、まさか俺を頭数に入れてないだろうな。」


「入れてるに決まってんじゃん。私と、紗季と、悠人と、星真でエントリーしておいた。」

マジかよ…この体で出ろっていうのか…?


「安心しろ、その人の能力に一番合った種目にしておいた。もちろん星真は戦闘だけどな。」

確かに俺の能力は戦闘特化だろう。


ただあの能力…狂気がただの心情変化だとは思えない。あの猿の表情や、俺に対して言ったわけではない《化け物』という言葉。

少し違う何か別の能力を兼ねている可能性もある。


まぁいいや、能力のコントロールの練習も兼ねて、明日の大会で優勝しますか!

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