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最弱能力の高校生

「さて、外に出たはいいがなにをしようか」

完全無計画で外出してしまったので、やることが思いつかない。


「とりあえずコンビニでも行くか。」

コンビニで愛海にお菓子でも買っていってやることにした。


「ん?紅花学園・学園長?」

【紅花学園・学園長:氷崎(こおりざき) 武人(たけひと)】と書いてある雑誌を見つけた。


「氷崎…武人…どこかで見たことあるようなシルエットだな…」

特殊能力者の専門学校を設立したほどの人間だ、顔を出してはダメなんだろう。

にしても、何か見覚えのある体つきだ。


まぁいいか、愛海へのお菓子を買わなければ。


そうして俺は雑誌とお菓子を買って外に出た。


ん?昼間だからかすごく騒がしい。何かあったのだろうか。


周りを見渡すと、人混みがあった。


「ちょっと、通してください…」

人混みを避け、最前列へ向かった。


「お前!一体なんなんだよ!」

「あなたが…話しかけてきたんでしょ…」

一人の男がそう叫んだあと、小さい女の子が激昂したように言った。


「わ、悪かったよ!だから許してくれよ!」

よく見ると男の足元には、二人の男が横たわっている。


「…」

女の子は聞く耳を持っていないようだ。


「スットーーーップ!」

さすがにヤバイと思い、二人の真ん中に立った。


「誰よ!邪魔しないで!」

女の子が俺に罵声を浴びせてくる。悪くないな。


「おいおい、こんな真昼間になにをやっているんだい?制服からして学生だろ?」

女の子の気を逸らすために女の子と会話をする。

「あ、ありがとう、た、助かったよ」

野郎の声が聞こえた。早く逃げてくれ、俺が出てきた意味がないだろ。


「あ、ちょっと!逃げられたじゃない!」

俺に八つ当たりをしてくる。


「そんなことより、俺の質問に答えてくれないか?」

答えを促す。


「あなたは私が何歳に見える?」

身長や体つきは小中学生のようにも見えるが、同じ制服を着ている娘が周りにいるのが見えた。


「高校生じゃないのか?」

医者の能力恐るべし。まさか表情だけでなくここまでの視覚情報を手に入れれるとは。


「ふぅーん、なかなか見る目があるわね。能力は五感向上系というところかしら?」

間違いではないが、間違いだな。でもここはそれで乗り切るべきか。


「そんなところだ。」

「へぇ〜、じゃあ…ここで寝つきなさい!」

そう言った瞬間無数の石が飛んできた。


「うぉ!」

咄嗟に【電撃(でんげき)】で防御してしまった。これで一つ嘘がバレるな…


そんなこと考えてる場合じゃねぇ!

「おい!いきなりやめろよ!殺す気か!?」

「本当に殺す!」


表情を見るにその言葉はマジだ。充電方法を教えてもらった時の解説がなかったら防御に応用なんてできず今頃お寝んねしていただろう。


「待て待て待て!落ち着け!なにがあったのかは知らないが、街中でそれはヤバイんじゃないのか!?」

防御に集中しつつ、説得を試みる。


「かんっけいない!」

飛んできていた石が突如として岩に変わった

「おいおい、これはヤバイぞ…死ぬだろ…」

そんなことを呟いている間に着実に岩が距離を詰めてくる。


こんなでかいの防御しきれないだろ…?

破壊するか?ダメだ、周りの被害がとんでもないことになる…どうする…考えろ。


考えるんだ。見出せ。この窮地を抜ける方法を見出すんだ……


ん?待てよ…岩を消滅させればなんとかなるんじゃ?

でも、できるのか?能力内容は学習だぞ?教えてもらってないことができるのか…?

するしかない。


数式と同じだ。それっぽく組み立てればいいんだ。合えばラッキー。


合わなければ…その時は俺の死で終わるだろう…

やれ、やるしかないんだ。


「うぉぉぉらぁぁぁ!」

その瞬間に目の前まで迫ってきていた大きな岩が消滅した。

いや、消滅したのではなく、どこか別の場所へ転移したのだろう。感覚的にはそんな感じだ。


ギャラリーも相手の女の子もみんなが静まった。


「あなた、何者なの?」

震えた声で、俺に問いかけてくる。


「ただの、【最弱能力(さいじゃくのうりょく)高校生(こうこうせい)】だ」

決まった…今のは絶対に好感度が上がった。


さて、好感度も上がったことだし、二発目が来る前にトンズラしましょうかい。

「それじゃあ俺は…」

駆け足でその場から離れた。逃げんなー!!という声が聞こえたが、振り返ると死ぬ気がしたので逃げる。


ここまで逃げてくれば大丈夫だろう。


それにしても、あの時は助かったが、この能力の謎がまた一段と深まった。


てっきり学習というぐらいなのだから、人に教えてもらってやっと効力を発揮すると思っていたが、電撃での防御や岩の転移…ただの複製能力ではないのだけがわかった。


一歩進んで二歩下がっていては、前に進めない。もっと自分の能力を理解しなければいけないな…


(プルルルルル…プルルルルル)


考察をしていると電話が鳴った。

「はい、もしもし。」


「天崎くんかい?学園長が直々に会いたいらしいから、病院に来てくれないか?」

何か、嫌な予感がする。


「はい、わかりました…」

「あ、妹さんも連れてきてね。」

なぜ愛海まで?まぁいいか。


「了解しましたー」


(プチ)


電話が切れた。

一度家に帰るか。


〜自宅〜


もし寝ていて、騒がしくしたらさぞ怒るだろう。ゆっくり入ろう…


(ガチャ)


「ただい…」

「おかえりー」

ああ、さすがに起きていたか。


「愛海〜病院行くぞ〜」

「へ?私の頭のこと?」

これをわざと言っているわけではないのだから怖い。


「違う違う。」

俺は簡潔に説明した。


「わかった!じゃあ行こう!」

なんだか乗り気だな。珍しいこともあるもんだ。

そうして、二人で病院へ向かった。


〜病院〜

病院に着くと、先生が出迎えてくれた。


「いらっしゃい、学園長は奥で待ってるよ。」

そう言うと俺たちを応接間へと案内してくれた。


「へぇ〜病院の応接間なんて初めて!」

すごくはしゃいでいるが、ここはあくまでも病院だぞ。でも確かに病院の応接間に死ぬまでに入るとは思っていなかった。


「ほら、学園長だ。」

先生がそう言う。


「どうも、天崎兄妹くん」

その姿を見た時、俺たち兄妹は唖然とした。


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