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能力:最弱

俺こと天崎(あまさき) 星真(せいま)は目を覚ました。

昨日のことを思い出すとゾクゾクする。


あの幸福感と痛み…いいや、思い出すのはやめておこう…

「さて、病院行くか!」

俺は朝食を食べたあと、腰を上げながら白々しくつぶやいた。


「何言ってんの?キモ…」

俺の妹、天崎(あまさき) 愛海(あみ)だ。


「聞いて驚け!俺は能力を発現させた!」

人差し指と中指を立てながら、ドヤ顔で言ってやった。


「は?今頃?私はもうとっくに発現してるけど?」

へ…?


「テメェ!俺より年下のくせに先に発現させてんじゃねぇよ!ドヤ顔して恥ずかしいだろうが!」

俺は叫んだ。そう俺は知らなかったのだ。知っていたらドヤ顔ピースなんてしないだろう。


「年下って言っても1歳違いだろ!?」

負けじと叫び返される


「はい…すいません…」

負けた…妹に迫力で負けた…


「てかお前いつ発現したの?」

普通、こういうのを聞くのはタブーとされているが血を分けた兄妹だ。いいだろう。


「去年の今頃」

以外と遅いんだな。

まぁ、俺よりかは随分早いが…


「そうなのか…まぁ、病院行ってきますわ」

愛海の返事も聞かずにそそくさと玄関を出た。


俺の家から病院へは徒歩5分だ。

俺は軽快なステップを踏みつつ、鼻声を歌いながら向かった。


周りから奇妙なものを見る目で睨まれていた気がするが、気にしないことにする。


そんなこんなで病院に到着。

少し騒ぎ声がするので耳を傾けてみる

「なにが不完全能力者だ!」

「不完全なものは不完全だろうが!」

…?不完全能力…?

「あの…お二人さん?何があったかは知らないですけど、ここは病院なのでお静かにしていただきたいのですが…」


提案混じりに話しかけてみたが、スルースキル全開なようで、話を聞いてくれない。


「うるせぇよ!」

俺がそう叫んだとき病院内が静まり返った。


「「お前誰?」」

二人が声を合わせて言う。本当は仲いいんじゃないか?


「通りすがりの利用者ですが、不完全能力とは何なんですか?」

すかさず質問をしてみる。

「俺の能力のことだよ…」

話を聞いてみると、天才が持つ能力の劣化版の能力が発現したらしい。


「なるほど…それで、どうして不完全だとダメなんですか?」

説明を促してみる。

「それは、この人が持ってる能力が、変に暴走するから不完全だ。と言っているんだけなんだけど…」

暴走?少し気になるが、当初の目的を進めよう。


「よくはわからないですが、とりあえずここは病院なので、喧嘩をするなら他所でお願いします。」

我ながらいい注意だと思った。

そして二人は場所を変えるまでもないな、と言うことなのか仲直りしたようだ。


「おっと、忘れるところだった」

窓口に鑑定申請を出した。

「さっきかっこよかったですよ」

小声でナースさんに言われた。

素直に褒められると恥ずかしいな…


数分後。

「あまさきさーん」

名前が呼ばれた。ついに来た…この時がついに…

「はーい!」

病院だということを忘れて大声で返事した


もちろん患者さんに睨まれる。

恥ずかしい…

さっきそれで注意したのに…はぁ…


そんなこんなで先生とご対面

「あんまり大声は出さないでね?」

一言目がそれですか…

「はい…」

今度は小さめに返事をした。


「私は田山(たやま) 三郎(さぶろう)と言います」

そう言いながら名刺を差し出された。


「天崎くん?だったかな?それじゃあ早速鑑定に移るから、検査を受けてもらうよ。」

キタキタキター!待ってた!この言葉!


「はい!」

一度目ほどではないが大きい声で返事をした。


検査は簡単なもので、能力発現時の感覚のレポートと脳のスキャンをするだけだった。


「んー…非常に言いにくいんだけど、こんな例はないね…脳の変化も今まで見たことのない事例だね…」

ん?どういうことだ?


「何が何だかさっぱりなんですが…」

「簡単に要約すると未確認の能力だね」

「未確認!?」

そう言いながら俺は椅子から落ちた。


「そう、未確認こんな事例は今までになかった」

今までになかった…?待て待て、俺の初めての能力が未確認?ふざけんなよ…?

「能力内容はどういうものなんですか?」

「能力内容は…全てを学習する力」

おいおい、待てよ全てを学習する力?学習ってなんだよ…頭よくなるのか?


「未確認能力の名前って、発現者が決めれるんですかね?」

俺は床から上目遣いで聞いた


「もちろんだよ。君だけの能力だ、名前をつけてあげなさい」

「じゃあ…【最弱(さいじゃく)】で」

俺は立ち上がりながら言った。先生は豆鉄砲を食らったような顔をしていた。

いや、もとからそうだったが。


「それで…いいんだね?」

もちろんだ。俺のパーフェクトセンスで決めてやったんだ変えるわけがないだろ。


「はい」

俺は一言そう言った。

「申請を出しておくね。申請を出した途端、君の能力を狙う者が現れるかもしれないから気をつけてね」

は!?マジで!?


「あの…嫌なんですけど…」

咄嗟に今からでも泣き出しそうな声で言った。


「なにがだい?」

何を言ってるんだという顔をしてやがる。

「いや、だから、その、能力狙われたくないんですけど…」

次は詳細に伝わるように言った


「そう言われてもね…あ!君、現役高校生だよね!」

意気揚々と質問をしてきた。


「そうですけど…?」

少し気になるので乗ってみることにした。


「じゃあいいところがあるよ!」

その言葉に俺は憂鬱だった気分が一気に期待へと生まれ変わった。

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