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命が尽きるとき

〜生徒会室〜


瓦礫と化したはずの生徒会室は、今日の1日だけで、防音防弾完全要塞のような部屋へと変わっていた。


「送られてきた手紙によると!一定レベルの能力攻撃になら耐えれるって!もちろん自然災害にも!」

なるほど。あの事件があったが故の改築ってことか。


「安心して生徒会活動ができるってことだな」


「そうだね!」


「おーい星真ー」

この声は母さんか。


「いきなりどうしたんですか?先生」

表面上は知り合いじゃない設定を貫き通す。


「あの子達、起きたから会いに行ってあげなさい。」

治療は思ったより早いんだな。


「わかりました。それでは神山と行かせてもらいます。」

そう言いながら俺は神坂の肩を持った。


「よぉーし!行こう!行きましょ!行かせてもらいましょう!」

こいつのテンションは本当に謎だ。


〜保健室〜


「神坂、佐藤、河谷、元気か?」


「元気じゃねぇよ…」

「元気とは言えませんね。」

「か、体が重たいです…」

まぁそらそうか。


瓦礫の下敷きにされてこんな早く治療が終わっただけ凄い方だもんな。


「やあやあみんな!神山ちゃんだよ!」

空気も読めないのかこいつは。


「紗季は置いといて星真、お前こそ体大丈夫なのか?あんな大技の的になったんだ。」


「大技?あの「なんとかりすかとる」ってやつか?」


「なんとかではないが、そうだ。動けるっていうことはあれをまともに受けては居ないみたいだな。」


「あれは一体なんだったんだ?」


「魔法だ。それも高位レベル」

魔法?どういうことだ?そんな非科学的なものが存在していいのか?


「魔法ってなんだ?非現実的すぎるぞそれは」


「魔法という分類の能力だ。あの魔法の能力名は確か…」


[呪術(じゅじゅつ)]ですね。」

佐藤が例の本を読みながら言う。


こいつらの口からカタカナじゃない能力名が出てきたのは初めてじゃないか?


「そうだ、あのスペルは身体の自由を奪うタイプだ。まともに受けなくてよかったな。」


「なるほど…ところで、能力名のカタカナとひらがなの違いってなんなんだ?」


「一般的には魔法系統がひらがな読みされているが…?」


「じゃあ、俺の【最弱(さいじゃく)】や【電撃(でんげき)】はどうなるんだ?」


「最弱は星真がつけた名前だから知らないけど、電撃は日本で見つかった最初の能力だから、日本語の象徴のひらがなを付けてるんじゃないのか?」


「最狂と狂気はどうなるんだ?」


「最初に発現した奴がつけただけだ」


「ふーん…そうなのか…魔法ってのはどれくらいあるんだ?」


「無数だ」

神坂はそう言い放った。


「無数…?」

聞き間違えたかもしれないと思い聞き返す。


「あいつが使った{レカルリスカトル}の他に{ラカレリスカトル}とかがあって、一つの魔法能力が発現すると数え切れないほどの呪文を覚えないといけないんだ。もちろん発現したときにランダムで一つだけ呪文を自動的に覚えるけどな。」


「お前、能力に詳しいんだな」


「この能力が発現する前は魔法が使いたかったんだ。それだけだ」

なるほどね〜…ということはこいつはほとんどの魔法を知ってるってことでいいのかな。


「ああ、そういえば生徒会室がすごいことになってたぞ」


「…すごいこと?」


「ああ、なんか改修工事でほとんどの能力に耐えれるらしい」


「そうなんだよ!防弾ガラス凄いんだよ!」

そういえば神山もいたな。


「ふぅーんそうなのか…」

今頃気づいたが、少し優れない顔色をしている


「まだ体痛むのか?」


「ああ、少しだけ痛い。」


「そうか、ゆっくり寝ておけ。ほら見てみろ、ここに入ってきたときは起きていた河谷なんかもう寝てるぞ」

それにしてもすぐに寝たな。


「…そうだな…ちょっと休ませてもらうよ。」

そう言うと神坂は布団を被り、目を閉じた。


「神山、俺たちだけでもなんか依頼消化しとくか。」


「うん!そうだね!じゃあ…戦闘系じゃないやつ…これだ!」

神坂が指差した依頼には「おしゃれを教えてください。」とだけ書かれていた。


「俺はおしゃれとかは滅法ダメなんだよな…」


「じゃあ私が一人でやるよ!」

なら安心だ。俺は依頼はこなさず、少し街に出てみるとしようか。


「そうか、じゃあ頑張れよ。俺はじゃあ…この辺を散歩してくるよ。」


「散歩するなら!この依頼とかどう!?散歩ついでに!今夜の食材買いに行って!」


「受ける気は無かったんだが…って!お前の依頼じゃねぇか!」


「そうだよ!」


「まぁいいわ…一石二鳥だな。受けておくよ」


「あいよ!」


〜商店街〜


それにしても、多能やら魔法やら能力が多すぎるな…

まぁ別に、全ての能力を制覇しようとかは考えてないからいいけどな。


そういえば、医者の能力をこの頃使ってなかったな…どれ、少し使ってみるか。


……?使えない?どうしてだ?削除した覚えはないし…

あ!まさか、俺が存在を忘れていたから消えたのか!?

やっとわかった。この能力の本質が!


そうか、そうだよな…能力生成に複製…流石にチートすぎるよな…


最弱の能力の本質は、学習ということにあるんだな。


能力の存在や概要を忘れてしまうと、使えなくなると…そういうことか…


そら、欠点の一つや二つはあるわな…


「おい、おまえ…」

いきなり声をかけられたと思ったらゴリ…図体のでかい人間…あくまでも人間がこっちに睨みを利かせていた。


「…?なんですか?」


「なんですか?じゃねぇよな、ぶつかっといて。」

ぶつかった?この体格差ならぶつかったら俺が吹っ飛ばされるだろ…


「ぶつかってないと思いますけど。」


「ぶつかったんだよ!」

そうあいつは自分の主張を叫ぶと俺の身体が一気に重たくなった。


「なんですか…これ…いきなり…」


「魔導書って便利だな???」

魔導書?なんだそれ、魔法能力に関係すんのか?


「魔導書ってなんなんですか…」

ここで情報を引き出して【記憶(メモリー)】で作り出せればなんとかなる…かも…


「教えるわけねぇだろ!」

こいつ一体何がしたいんだよ…

肉体的攻撃力もさほど高い訳ではないじゃないから、能力を使うほどでもないが…


魔導書の探りにでも少し使ってみることにするか。


「少し痛い目に見てもらいますよ…」

そう警告だけすると、その図体のでかいやつにつきまとっていた舎弟らしきやつらを感電ショックさせた。


「……どうして俺じゃなくて…あいつらに攻撃した…」

なかなか人情深いのか?こいつは


「俺の…俺の…動く財布を!!」

そんなことねぇわ、こいつど畜生だわ。

手加減なんてしてらんねぇな。


「まだ諦めないんですか…同じ目にあってもらいますよ…」

一応もう一度警告したが、「うるせぇ!」だそうだ。


「じゃあ…おやすみなさい…」

俺は挨拶だけすると、相手に向かって電撃を流した…はずだった。


なぜか不発に終わったのだ。電撃を確実に流した瞬間にバーサクでもしたのかというほどに強化された拳が頬にめり込んだ。


「はぁ、はぁ…お前は殺す…」

こいつダメだ…勝てる気がしねぇ…最狂にシフトチェンジするしかねぇな…


「呼ばれて飛び出てジャジャジャーーー…ん?体ちょっと重たいな。おい、俺太ったのか。」

太ってねぇよ。てか、呼んだら出てきてくれんだな。


「まぁいいや、今回の獲物は…お前かゴリラ」

こいつ、言いやがった俺が心の中で考えていたことを言いやがった。


「ゴリラだと!?」


「そうそうゴリラくん、動物園に行くかい?」


「ゴリラじゃねぇんだよ!」


「嘘はいけないぜ?ちょっと待ってな、動物園に連絡してやるから。」

いや、マジで電話番号入力し始めるのはやめろ。

声も一緒なんだから俺が怒られるだろ。


「ふざけてんじゃねぇぞ…」


「ふざけてねぇよ。大真面目だぞ?ほら、この顔見てみろよ。」

すっげぇニヤけてる。これは誰がどう見てもふざけてるようにしか見えんな。


「ニヤニヤしてんじゃねぇかよ…ぶっ殺す!」

そうだ、ごもっともだ。でも殺されるのはキツイな。


「ぶっ殺すだなんてやだなー。殺されちゃう前に殺さないといけなくなるじゃないかー」

こりゃだめだ。本気出してるな。


「クルーガ…来い…」

おい、待て待て待て、それはやめろ、ただの喧嘩で魔神は呼んでんじゃねぇ


「じゃあどうしろってんだ」

会話できるのか、穏便にしろ穏便に


「ショック死?」

死なせなくていいし、電撃は通らない。


「なるほど、筋力で殺すか」

いや、だから死なせるな。


「何独り言言ってんだよ!」

うるさいな、話してたのに


「あー、悪いな、結論出たから、気にせず本気で蹴ってくれ」

自分から行くよりは安全だな。

最狂くん本当はなかなか強い?


「蹴るだけじゃなく殺してやるよ!」

あいての威勢のいい声と同時に相手の右足がこっちに迫ってくる。


「はい、君の負けね☆」

最狂がそう言うと、相手が吹っ飛…ばない?

それどころかこっちが吹っ飛んでいる。


「…え?」

これは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしざるをえないな


「鳩が豆鉄砲食らったような顔してるな!」

思考回路同じかよ。

じゃなかった、どうして俺側が吹っ飛んだんだ…?

まさかとは思うが、あいつ能力無効系の何かか?


「お前さーさっきから能力使いまくってるけど俺に効かないからね〜…」

このやろう…モブの分際で…


「どうして…能力が無効化される…」


「さっきも言ったけどさー教えるわけないじゃん?てかここで教えてももうお前には死んでもらうから、俺にぶつかったのが最後だったな!」

それだけ言うと腰から刃物を取り出し、俺の胸へと突き刺した。


モブめ…一生ゆるさねぇ…てか、こいつマジでやばいぞ…本気で死ぬ…

はぁ、今まで楽しかったな…最後ぐらいゴリラじゃなくて愛海の顔見たかったな…


そんなことを考えてるうちに、意識がプツンと、まるでテレビの電源を抜いたように呆気なく、俺の人生が終わった。

〜完〜とは行かないんですよねーこれが

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