プロローグ
ある日、こんなことを思った。
なぜ俺には能力が発現しないのだろうか。
この世界は個人差はあるものの、産まれてから16年の間に何らかの能力が発現する。
天才と呼ばれるのは、産まれてすぐに発現した一部の人間だ。
もちろん能力の内容を自ら知る方法はないので、病院の【能力科】に鑑定してもらうことで、知ることができる。
なはずなのだが…
「俺はもう16歳だぞ!」
そう、俺は今日で16歳なのだ。
能力が発現したのに気づいていない可能性も考えたのだが、周りの人間に聞くと
「発現すると体に異変を感じて、直接脳内に声が聞こえるんだ」
と、みんな口を揃えて言う。
もちろん俺にはそんな感覚になったこともなければ声が聞こえたことも無い。
「おい…やべぇぞ…俺が生まれた時間まであと2分だぞ…俺能力発現せずに死ぬまで暮らすのか?」
焦っていた。それはもうひたすら焦っていた。
「1分切った…能力発現しなけりゃ死ぬか…?丈夫な縄だけ用意しとくか…」
まともじゃないな、こう過去を振り返ると涙が出てくる…
10秒を切った時俺は体に異変を感じた
「お?来たか?やっとか?16歳まで数秒しかないぞ?大丈夫か?」
『能力が発現しました』
そんな声が聞こえた。
「キターーー!!!」
嬉しくて部屋壊し(ルームブレイカー)と呼ばれそうなほどに部屋を暴れまわった。
「痛い痛い痛い痛い!!!」
体をぶつけたわけではなく、最初の体に起きた異変が、死ぬほどに痛かった。
思い出すだけで痛みが戻ってくるほどだ。
「ふ、ふぅ…痛かった…みんなこんなに痛かったのか?ふざけんじゃねぇよ…」
このあと聞いたのだが、発現する能力によっては、痛みや痺れがあるらしい。
「まぁいいや!発現したし!明日病院で鑑定してもらうか!今日はもう寝よう!」
そうして俺は目を瞑った
セリフ枠以外が過去を語っているのは今回だけです!(多分)