思い付き
さて、僕がランドラルフ=ヴァシ=ロサクノスにとしてこの世に生を受けてから15年が経った。でもこの世界の一年は404日で春夏秋冬それぞれが101日ずつの構成だから、僕には違和感ありまくりなのだが。
しかし15年が経ったと言っても、"人間族"の体は成長が遅いらしく、僕の体は前世の人間で言う5歳の子供だ。成体と同じぐらいに成長するには、最低でも100年はかかるそうだ。
でもそれはあくまでも"身体"の話、精神の方は前世+今世で30を超えてしまった。そんな僕が通常の子供達と遊び回るには羞恥と無精が大きすぎた。
その為なのか前世からの性質だったのかは考えないが、書物庫に引きこもって本を読んでいる事が日常になっている。メイドの間では「ランディ様はいつものところに」で通っているらしい。
寧ろ書物庫にいる事が普通になっているようで、たまには散歩でもなんて考えて庭を歩いていた時には「書物庫にいない!」なんて騒ぎになっていたらしい。確かに引きこもっていたけど!僕だって外の空気を吸いたい時だってありますぅ!
しかしこの書物庫、小さな子供が読むような童話の類から始まり、地理や歴史、文学、生物、さらには裁縫や料理といった様々なジャンルの書物が置かれているのである。勿論のこと魔導書も存在した。
ゲームでしか見ることがないと思っていた魔法の存在。そんな物が目の前に確かに存在しているのだ、食いつかないわけが無いだろう。
そんな感じで書物庫の本を読み漁る日々を堪能していたある日のこと。
「そうだ旅に出よう」
前世での某テレビ番組よろしく思いついたのだった。