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剣の舞  作者:
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7.罠と同盟

 ひとしきり指を差して笑った後、きっちりと靴を履き直した彼女は不意に真面目にルセロに声をかけた。


「で、あんたさ」


「‥‥何」


 大爆笑されて気分の良くなるような芸人資質は持ち合わせていない。不機嫌に答えると、鼻で笑われた。ちっさいと言われているようで実に腹が立つ、確かにちっさいかもしれないが。背とか。


「あんた、ばばぁを殺しに来たんだよね?ひとり?」


 あまりにあっさりと言われて返答に困る。人質を取られているというのなら、彼女は多分それを阻止しなければならないのだろうし。


「‥‥それを知ってどうするんだ」


「うん、あたしもそろそろあのくそむかつくばばぁには退場願いたかったんだよね」


 それにしても口が悪い。影武者として大丈夫なのだろうか、と心配になるが、他人事だと思い直した。それよりもとても重要なことを言われた気がする。


「それは俺らの味方につくということか?」


 できれば王妹を殺して、殺せないにしても騒ぎを起こして、なるべく大事になるまで引っ張ってそれで剣姫を引き摺り出したらこちらの勝ち。そういうつもりだったが、もし、影武者とはいえ剣姫がこちらに着くなら話はまた変わる。


 巻き込んだ連中を死なせずに済むかもしれない、というのは希望的観測に過ぎるか。


「どうだろうね。

 とりあえず、今回の離宮の件は罠だよ」


 余りに静かだったからそういう可能性もあるかと思っていた。


 だが、罠だとして、それは誰を想定した罠だ?


「まず、あたし。あたしの味方のひとたち。それから、人質になってるあたしの姉たち。ついでに噂に踊らされるあんたらみたいな連中にも、じゃない」


「‥‥踊らされてて悪かったな」


 指を三つまで折って、次にそれをくるりと開いてルセロを差してみせた彼女は、人を食ったように笑った。


「まぁ、あたしの味方も姉も、身体も心も弱いけど頭は弱くないからね。うまく利用できるんじゃない、って言われて」


「お前が考えたんじゃないのか」


「あたし頭は弱いもん」


 思わずつられて笑った。馬鹿みたいな話が楽しかった。相手は憎いと思っていた剣姫の、側の人間なのは確かなのに。


 けれど、彼女が笑うから。


「尻尾出すのを期待されて連れ出されたけどね、尻尾は出さずにあんたらを見つけたんだから、上々じゃない?」


 そう言って笑うから。それも上々、と思ったのだった。

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