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剣の舞  作者:
31/38

30.姉妹

 駆けさせた馬を跳躍させて、さらにその一番高い地点で背を蹴って、彼女は飛んだ。それは跳ぶというよりも飛んでいた、必死で食らいつくように、恐らく同じことをしたのだろうけれど、どうやって自分がその場所に立ったのか、記憶が飛んでいた。


 彼女の背に翼を幻視した。


「‥‥相変わらず無茶をする」


 その静かな声は静かすぎて、背景と同じものだと聞き流しかけた。


「アニアナ」


 ただサリアナが呼びかけたことで、そこに立つ人影に意識が向いた。


 似ている。


 と思った。


「楽しかった、サリアナ?」


「カタリナも。揃って何をしてたんだ?」


 そういえば跳ぶ直前に、テラスに人影を見たのだった。あれほどの勢いで跳び込んだのだ、今座り込んでいるこの場所は階下からは見えないが、多分人影が彼女たちで、ルセロ達が突っ込んだために建物内に退避していたのだろう、滲み出るように姿を現した。2人の女性だった。


 2人はよく似ていた。さらに言えば、サリアナも。


「お前たちを待っていたのよ」


「随分と早かったのね?」


「殺さなかったから」


 3人とも、声もよく似ていた。


 そして、揃って、ようよう立ち上がったルセロを振り返った、その面差しがよく似ていた。


「‥‥戦姫、と、剣姫?」


 この、王城で。剣姫の影武者であるサリアナとよく似た姫君など、ほかに知らない。2人は揃って頷いた。


「そうよ」


「ようこそ。歓迎する。伯母上を打倒しに参られたのね」


 小柄なほう、よりサリアナに良く似た、恐らくは剣姫はあっさりと頷き、大柄なほう、恐らくは戦姫は歓迎を口にしながらもどこか苦しそうだった。


「伯母上は城を出られた」


「多分西へ向かったんだわ」


 ということはまた、ここから馬を飛ばすんだろうかと、せっかく立ち上がったところだがへたり込みたくなった。サリアナはけろりとしていた。


「それは困ったね」


 全然困っていなそうに、肩をすくめた。

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