28.王都に迫る
街道を駆け抜けて、あっさりと王都が目に入ってきた。
相変わらず全速力で、それでも流石に馬は疲れが見えてきた。サリアナに疲れはまるで見えない。ルセロは必死で疲れを覚えない。
まるで大軍勢を率いる将のようだ、とルセロは思ったが、しかしそれにしては後続を引き離しすぎだな、と思った。次いで、犯罪者とそれを追う捕り物に見えるだろうかと思い、それも間違っていないなと乾いた笑いが漏れた。
その声も取り残して、ひた走る。
「‥‥王都の護りって、今はどうなっているんだ?」
隣を爆走するサリアナにその声は届かず、彼女はひたと前を見据えていた。
「サリアナ!王都の護りはどうなっている?!」
「えー?!」
「王都!の!護り!どうなってる?!」
実質は敵味方入り乱れているとはいえ、傍から見たら暴走する軍隊が王都に襲いかかっているようなものだろう。当然許されることではないはずだ。というかこれを許したら普通国は終わる。
「えー‥‥近衛ェ?!だと思うけど!でも大体ばばぁの私兵扱いよー?!」
「はァ?!」
凄く意味が分からなかった。
ルセロはしばらく考え込み、
「――はァ?!なんだそれ?!」
叫んだ。
つまり、王宮の秘密の一端であるところの剣姫は王都を護った覚えもなく。考え込まなければ分からないほどその役目は存在感がなく。どうやら近衛が王都の護りを兼任しているようだがその近衛は最早魔女の私兵に近く。
それ即ち、王都に迫った彼らを止めるものはないということだ。
「なんだよそれ?!」
王国の兵士の一団をかわしてしまえば国王以下の王族は王妹以外丸裸だということなのか。というかそれ以前に王都の民はどうなるというのか。戦場での戦いだから戦姫も剣姫も活躍したが、これは、工作員を送り込む類の搦め手で来られたらあっさり陥落していたのではないだろうか。
――あぁ、そう、戦姫だ。
まだこの国には、守りの要が存在している。
「戦姫は!戦いを盤上に!限定するのが、巧いんだってさ!!」
それはつまり、戦姫がいる限りは搦め手の戦術は取られないということ。
では、その彼女を引きずり降ろしてしまったら?
この内乱は危ういのかもしれない、と、初めてルセロは意識した。




