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剣の舞  作者:
20/38

19.野っ原で密談①

「こんな場所があったのか」


「ルセロ。お前、少しは戦場を知るべきだろう」


 何から説明するべきか、考えつつ思ったことを口にしたら幼馴染に呆れられた。だがそれはマルテの役割だと思っているし、それに、今回の場合は、


「そうは言っても、茶番に真剣になれるかよ」


敵対すると言われる相手も求めることは同じなのだから。


 案の定マルテは眉をひそめて問いかける顔をした。


「戦姫は敵じゃない」


「‥‥どういうことだ?ルセロ」


「彼女がこっちにつくのは、戦姫の戦術の内だ」


「だからそれはどういうことなんだ?」


 苛立たしげに問いかける声に、しかし答えたのはルセロではない声だった。


「全てはあの魔女を引きずり落とすためってことだよ」


 だから、茶番だ。敵も味方も、願うことはただ一つ、魔女の退場、それだけだ。敵対すると言っても形ばかりのことだから。だから茶番だ。それですら失われる命はあるのだろうけれど。


 凪いだ瞳に思うところはあったのか、マルテはひとつ大きく息を吐いて、


「‥‥成程」


と言った。その彼に向かって、彼女は指を2本立てた。


「戦姫があたしに命じたことは2つ。

 キコツのある若者たちを引っ張ってくること。それから剣姫(あたし)が表に立つこと」


「成程‥‥しかし、貴女が表に立つというのは‥‥すでに、『赤髪』の名で広めてしまいましたが」


 『赤髪』とはルセロのことだ。そして同時に、ルセロの母親も同じ通り名で呼ばれていたらしいことを知っている。知っているが敢えて訂正しようとは思わない、少しは風評被害にでもあえばいいと思う。


「それは多分大丈夫。率いるようにとは言われなかったし。どうせあたしの顔は売れているんだ、隠れないであんたらと一緒にいれば、嫌でも広まるさ」


 成程ね、とマルテはまた頷いた。


 恐らく彼には分かっている。戦姫がどんな絵図を描いているのか。正直ルセロには分からないところもあるが、ともかくこれで、解放軍を率いるに憂いはない、はずだ。


 だから次に彼女に問いかけたことも、ただ確認の意味しかなかったはずだ。


「しかし、貴女はいいのですか?それだけ派手にこちらにつくというのは、魔女に知られることと思いますが」

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