風景
生まれて初めての文章。
短いですが、見て頂けると嬉しいです。感想お待ちしております。
いつも通りの朝。
台所の窓から見えるのは青い空と白い雲、そして野良猫一匹。
今日の朝食は白いご飯と豆腐の味噌汁、それに昨日の夕食の残り物を少々。一人暮らしの朝としては十分すぎるだろう。
しゃもじを取り出し二つの茶碗にご飯をよそう。一つは並み盛り、一つは小盛りで。ユラユラと立ち上る湯気が食欲をそそるが、今日はまだ待っていようか。
二人分の朝食を用意し終え、指定席に座り新聞を広げる。今日も世界は多少の乱れはあるものの平和なようだ。
一通り新聞を読み終えると、さっきまで立ち上っていた湯気はなくなり、ご飯は冷めていた。
「今日ぐらいは帰って来るかと思ったんだけどな」
ポツリと呟いた言葉は一人っきりの静かな部屋を廻り家中の隙間からスルリと外へ逃げていく。
昔は逃げる間もなく次の言葉に追いやられていたというのに…
新聞を畳み、箸を持つ。
まだ、認められないんだろう。君が居なくなったということを。
だからこうして未練がましく君を待つんだ。
「いただきます」
胸の前で手を合わせ、もう言わなくなった言葉を久しぶりに口にする。
チラリと目の前のお茶碗の中身を見る。当然、中身は減ってはいなかった。
いつも通りの朝食を終え、食器を流し場に運ぶ。
「これ、どうしようか」
朝食の間、一ミリも動くことなく対面にあった食器とその中身。
「捨てるのは勿体無いしな…昼ごはんにでも……」
ご飯、残り物のおかずの入った器にラップをかける。そして次は味噌汁の入った器に…
そこで手が止まる。味噌汁は半分近く無くなっていた。
「……ははっ」
そうか、そう言えばそうだったな。君はいつも味噌汁からだった。
「帰ってきてるんなら枕元にでも立ってくれりゃあ良かったのに」
いつも通りの朝。
台所の窓から見えるのは青い空と白い雲、そして仲睦まじく寄り添った野良猫二匹。
稚拙な文を見て頂きありがとうございました。