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Scene 7 終幕 ― 全員の敗北
その日、王都は驚くほど静かだった。
処刑台も立たず、群衆の怒号も起きない。鐘が鳴らされることもなく、ただいつも通りに朝が来て、いつも通りに人々は歩いていた。
派手な断罪はなかった。
叫びも、血も、復讐もなかった。
あるのは、書類の整理と、記録の修正だけだった。
年表から一つの名が消えた。
別の名は、肩書きを失った。
かつて中心にあった人物たちは、それぞれ「適切な位置」へと戻されていく。
誰も罪を宣告されていない。
誰も無実を証明されてもいない。
だからこそ、抗議する相手もいなかった。
王子は王子でなくなり、
象徴は象徴であることをやめ、
正しい顔をしていた者は、最後まで正しい顔のままだった。
物語は終わったのではない。
ただ、中心が消えただけだ。
それを、人は敗北とは呼ばない。
あまりに静かで、あまりに整いすぎているからだ。
だが――
勝者が一人もいない以上、
それはきっと、
全員の敗北だった。




