表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪者――『誰も清くない王国で』  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/54

Scene 7 締め ― 一番目立つ悪が落ちる理由

その出来事は、王都にとっては「一件落着」として語られた。


 王子レオンハルトの軽率さ。

 若さゆえの過ち。

 反省と寄進、そして一時の自粛。


 それ以上でも、それ以下でもない、と。


 市井では人々がうなずき合い、社交界では安堵の息が交わされた。

 誰もが口にしない共通認識があった――これで十分だ、と。


 だが、語り部は知っている。


 人は、

 一番危険な悪からは裁かない。


 一番分かりやすく、

 一番説明しやすく、

 一番反論しにくく、

 一番失っても困らない悪を、

 最初に差し出す。


 それは怒りを鎮めるためではない。

 正義のためでもない。


 次に裁くための、空気を整えるためだ。


 「責任を取らせた」という実績。

 「誰も守られていないわけではない」という証拠。

 「だから次は、もっと慎重に」という前置き。


 そうして世界は、自分が正しい側に立っていると信じ続ける。


 この夜、

 王子は落ちたと言われた。


 だが実際には、

 彼はただ――差し出されただけだった。


 失脚は、確かに始まった。

 だが、本当に裁かれる者は、

 まだ名も呼ばれていない。


 そしてそれを、

 誰もが無意識のうちに理解していた。


 理解していながら、

 誰も口にはしなかった。


 それを、人は

 **「区切り」**と呼ぶ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ