Scene 3 処分 ― 軽すぎる責任
処分は、あまりにも整っていた。
王子レオンハルトに科されたのは、「責任を取る」という形式だった。
それは罰ではなく、調整だった。
公務は一部縮小される。
表舞台に立つ回数が減り、代わりに名代が立つ。
王子自身は「反省期間」として、静かに城内に留まることになる。
声明文はすでに用意されていた。
軽率だったこと。
自覚が足りなかったこと。
民に不安を与えたことへの遺憾。
言葉は柔らかく、角がない。
謝罪というより、反省の共有に近い文面だった。
教会には寄進がなされる。
名目は「清め」と「感謝」。
金額は象徴的で、過剰ではない。
あくまで「誠意が伝わる程度」に抑えられていた。
婚約話は、一時的に棚上げされる。
破談ではない。
延期でもない。
ただ、「今は話題にしない」という選択。
それだけで、噂は自然と鎮まると皆が知っていた。
誰もが理解している。
王子の地位は揺らいでいない。
将来も、権力も、血筋も、何一つ失われていない。
これは処罰ではない。
教訓でもない。
まして断罪ではない。
――整えただけだ。
場の空気が乱れたから、
椅子の位置を少し直した。
それと同じ感覚だった。
会議室を出る者たちの表情は、どこか安堵していた。
「これで収まる」
「さすがに、これ以上はしないだろう」
誰もが、そう思っていた。
王子は罰せられたのではない。
ただ、軽く整えられただけだった。
そしてその事実こそが、
この失脚が――
本物ではないことを、何より雄弁に語っていた。




