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僕の初めて体験

空が仄暗く明るい早朝に、僕はおじさんの肩で揺られながら街に向かっていた。

前日に明日の早朝に家を出るとは聞いていたけど、こんなに早いとは思っていなかった、まだ眠い、でも。

「まだ眠いなら寝ててもいいんだぞ?」

「ありがとうございます、でもこの景色を見ていたいので大丈夫です」

夜とは違い獣の声はせず、鳥たちの声が静かな世界に鳴り響きなんとも言えない日差しが気持ちがいいな。

家を出る前から街までかなり離れているとは聞いていたけど、何でそんなに離れている所におじさんは住んでいるのかな?

この事を聞いてもいいのかな?

「何で離れた所に住んでるのか気になるか?」

僕の心を読んだのか話しかけてきた。

「えっと、買い物するにも不便じゃないんですか?」

「俺の家の周りには畑もあるし、少し離れた所には川も流れてる、生きていくのには十分だ」

「寂しかったりしないですか?」

おじさんの動きが一瞬止まる。

「俺は1人でいるのが好きだからいいのさ」

そう言うと何事もなかったように歩き始める。

「まぁ今はお前さんを一人前にするまでは追い出したりしないから安心しな」

豪快な笑い声の後。

「このままじゃ昼までには着かないから走るぞ」

僕を片手で押さえながら走り始めた。


2


お日様が燦々と照らす快晴時に街の前まで着いた僕は酔って吐きそうになっていた。

「大丈夫か?」

持ってきていた木の水筒の水を飲みながら、木陰で休憩中だ。

「う〜」

一定の振動が続くとあんなに気持ち悪くなるなんて知らなかった。

「俺は先に街に入る為の手続きしてくるから、そこで休んでおけ」

僕の元気のない返事を聞いた後に、おじさんは街の入り口に向かって行った。

木陰に吹く風が気持ちよくて目を瞑る、先ほどよりかは楽になってきた。

「あの、大丈夫ですか?」

目を開けると、知らない女の子が立っていた。

「はい、少し気分が悪いですが大丈夫です」

僕よりも少し年上なのかな?、頭に角が3本生えてるから魔族の娘かな。

「よかったらコレを飲んで、気分が良くなるよ」

少女から手渡されたのは、青色の液体が入ったガラス瓶のような物だ。

色的に飲むのには躊躇してしまうが、楽になるならば飲んでみよう。

口につけて一気に流し込む、病院で嗅いだことのあるような匂いと強烈な苦味がある、ただ不思議と気持ち悪さがなくなっていた。

「これはパパの作った薬よ、腹痛や気持ちが悪い時には効くのよ」

口直しに水を飲み。

「ありがとうございます、助かりました」

「良いのよ、これから街に入るんでしょ?、よかったらうちのお店に買いに来てね」

女の子は一足先に街に戻っていく、いろんな色の草を背中の籠に入れてたからお使いの帰り道だったのかな。

そんな女の子と入れ替わりに。

「少しはよくなったか?、手続き終わったから行くぞ」

おじさんが僕を迎えに来た。

「はい、魔族の女の子がくれた薬を飲んだら良くなりました」

「そうか、今さっき俺がすれ違った娘かな?、後でお礼言いに行くか」

地面から立ち上がり、おじさんの横を歩き。

「はい!」

大きく返事をして街に向かう。


3


門番の人達に挨拶をしながら街に入る、目の前にはいろんな魔族が歩いている。

「ここは魔族の領土だから魔族が多いが、他の種族もいるから楽しみにしておきな」

肌の色も角の数も、二足歩行から四足歩行まで、魔族と言ってもこんなに違うんだな。

「それじゃあまずは腹ごしらえでもするか、うまい場所があるからついてきな」

街中を眺めながら後をついていく、見たことのない果物のような物や、野菜みたいな物、お肉や魚も見たことのない物だらけで輝いて見える。

「面白いか?」

「はい!、とても楽しいです!」

「なら良かったよ」

おじさんの笑い声と僕の笑い声が重なる、楽しいな。

そんなこんなで歩いていると。

「ここだ」

おじさんが指を刺した先には、看板に。

『美味い店 腹が減ったら ジェニス』

と書いてある。

おじさんがドアを開け中に入るのを後ろからついていく。

賑わう店内の中、空いているテーブル席に座る。

「いらっしゃい、おや?、久しぶりだね」

お水を持ってきた魔族のお姉さんがおじさんに話しかけている。

「おう、用があってな」

「それで?、そっちに座ってる人族の子供はどうしたんだい?」

おじさんよりかは小さいけど、それでも僕よりもかなり大きな女性に見られ、少しビックリした。

「少し訳ありでな、今面倒見てるんだ」

ふーんと言いながらジロジロと僕を見られる。

「…まぁ良いことじゃない、それで?何食べるの?」

「いつものやつを頼む、こいつも同じのだが、量は少なめにしてくれ」

「はーい」

お姉さんは去り際に僕の頭をポンポンして、手を振りながら何処かに向かって行った。

「何を注文したんですか?」

「きてからのお楽しみだ」

おじさんの手料理以外は初めて見るから楽しみだ。

「はいお待たせー」

注文してからくるまでに2分もたっていないのにもうきた。

アニメで観たカレーライスみたいなのと葉野菜のサラダがおかける。

「そんじゃごゆっくりー」

去り際にまた僕の頭をポンポンして行った、そんなに触りたくなるものなのかな?

「コレは何なのですか?」

おじさんは1つ1つ指刺しながら。

「コレはウシタって獣の血と肉を香辛料で味つけして煮込んだウシタルー、一緒に入ってる白いのがコルメって魚の卵、サラダは知らんが美味い草だ」

…美味い草か。

おじさんは食べ始めてるので、僕も食べてみる。

プチプチと弾ける卵にスパイシーなウシタルーが不思議と合う、美味しいな。

サラダもドレッシングがかかってシャキシャキと美味しい、確かに美味しい草だ。

夢中になって食事を楽しんだ。


4


食事を終え、今僕は1人で街の中を歩いている。

好きな物を買ってみろとお金を渡されたので、色んなお店を物色中なのだ。

ちなみにおじさんは用事を済ませてくると言っていたので、後で門の前に集合予定です。

おじさん曰く、そこまで大きな街ではないと言っていたが、そんなことはない。

小さな僕には広く大きい、地図を渡されてなかったらあっという間に迷子になっていただろう。

食べ物関係は後でおじさんと買うし、どうしようかな?

黙々と地図を見ながら考えてると、薬屋の文字が見えた。

街の前で助けてくれた女の子がいるお店かな?、ここに行ってみよう。

そうと決まればと足早に向かい始める、さっきのお店みたいに何処のお店も看板にでかでかと文字が書いてあるから探しやすくていいよな。

現在地よりも思ったより離れていなかったので、すぐに辿り着いた。

『薬屋』

他のお店の看板も見ていて思ったけど、ジェニス以外のお店はかなりシンプルだよな。

お店のドアを開け入店する。

「いらっしゃいませ」

大柄な魔族の男性が出迎えてくれた、何処となくおじさんに似ているような…。

「あれ?、もしかして外であった子?」

そんなことを考えてると、男性の横から僕に薬をくれた女の子が出てきた。

「あの時は助かりました」

女の子は嬉しそうに僕の前に来て、手を握ってくる。

「元気になって良かったね、まさか本当に来てくれるなんて思ってなかったからビックリだよ」

…女の子に触られるとちょっと照れる。

「うん、改めてお礼と買い物しようと思って来たんだ」

「そっかそっか、それじゃあどんな薬があるか説明するね」

並んでいる薬の説明をしてくれているが、まだ僕の手を繋いだままだから照れて何も頭に入ってこない。

「なんだ?、お前もここに居たのか、なに顔赤くしてるんだ?」

僕が顔を赤くしていると、おじさんが入って来た。

「久しぶりだね、兄さん」

男性はカウンターから出ておじさんと握手をしている。

「久しぶりだな、街まで出て来たから顔見ておこうと思ってな」

似ていると思ったけど、まさか兄弟だったとわ。

「そうかい、兄さんも元気そうで良かったよ、ところでその子とは知り合いかい?」

「まぁ色々あって今は面倒見てるんだよ」

「そっか、まだあそこで暮らしてるのかい?」

その言葉ににこやかだったおじさんの顔が真顔に変わる。

「俺はまだやり残したことがあるからな」

「…そっか」

やっぱり何か理由があってあそこに暮らしてるのか、頻繁に外に行ってたのもそうなのかな?

「元気そうなお前の顔を見れてよかったよ、行くぞちびすけ」

おじさんは僕を肩に乗せ、店を出ようとする。

「兄さん、私はここで兄さんの帰りを待っているからね、必ずまた会いに来てね」

おじさんの背中越しに弟さんの声を聞きながら、お店を後にした。


5


街での買い物を終え、おじさんに色んなことを聞けず悶々と

しながら帰宅途中だ。

行きの時も思ってたけど、走ると早いけど、かなり酔うな。

「大丈夫か?、もう少しで着くから我慢しろ」

おじさんに吐くわけにもいかないので、気合いで我慢する。

気合いで…。

気合い…で。

込み上げて来た物を気合いで飲み込み、鼻の酸っぱい感じを我慢し、早く家につくことを願う。

どれくらい耐えたかわからないが、無事に家に着いた。

「おつかれさん、よく吐かなかったな」

おじさんから水を受け取り、口を濯ぐ。

「いえ、乗っけてくれてありがとうございます」

おじさんの走るスピードはとにかく早い、僕が歩いた場合、今の4倍くらい時間がかかりそうだ。

「俺は畑見てくるから、ゆっくり休憩してな」

買って来た荷物を置くやいなや何処かに行ってしまった。

まだ気持ち悪いので、ベッドに横になる、頭がぐるぐるする。

…?

ポケットに何か硬いものがある。

取り出すと見覚えのある青い瓶が出てきた、いつの間にいれてたんだ?

感謝しながら一気に飲む、やっぱり苦いや。

薬のおかげで気持ち悪さも消え、水を飲みながらおじさんの帰りを待つ。

今日だけで色んなことがあったなぁ、まさかおじさんに弟さんがいたとはな、ってことはあの娘はおじさんの姪っ子になるのか、それにしてもおじさんはなんでこの家に拘ってるのだろうか?

今日の感じじゃ朝言ってたのとは違う理由があるみたいだし、聞いても教えてくれなさそうだしな。

考え事をしつつ、うとうとしてきた時。

大きな獣の雄叫びが聞こえてきた。



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