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僕とお勉強

朝食を食べ終えた後、おじさんは色んな本を持ってきてくれた。

「お前の魔本に書かれた文字を俺は読めなかったが、お前はこっちの文字は読めるか?」

1番上に積まれた本を手に取り開いてみる、何1つわかるものがない。

「何もわかりません」

「まぁそれはそうだよな、じゃあ今日は文字を覚えるか、幸いな事に言葉は通じるからな、今から俺が言う文字をその木の板に書いていってくれ、それを俺がこちらの文字に直したのを書くからそれで覚えていこう」

それからひたすらに書いた、僕が書ききるとおじさんは書いた文字の下の方にこの世界の文字を書いていく。

「少し考えてみたんだが」

黙々と文字を書きながら僕に話しかけてくる。

「お前の神様からもらった友達本は友達を作りたいって願いでもらったんだよな」

「そうです」

「友達をつくるのに必要なのは、まずは会話や仕草だと思う。言葉が通じなくとも友達にはなれるが、手っ取り早いのは会話をすることだ、だから言葉だけはお互いに通じるように翻訳能力みたいなのをくれているのかもな」

確かに僕は日本語で話してるけどおじさんは通じている、でも友達本に書かれた日本語は読めていないからそうなのかもしれない。

「今疑問に思っただろうから伝えるが、俺には魔族語を話してるようにしか聞こえないぞ」

…おじさんは心の中も読めるのかもしれない。

おじさんは書ききったのかほらよと僕に木の板を渡す、それを受け取り見てみる。

おじさんに言われて書いたのは五十音とベッドや椅子とかの単語など、下に書かれた初めてみる文字に少しテンションが上がる。

「見た感じ文字数は同じみたいだから大丈夫そうだな、後は自分で書いたりして覚えていくしかないな」

おじさんは別の木の板を持ってきて。

「それじゃあ俺は昼食の準備するから、勉強頑張れよ」

そう言い残し家を出て行った、買い物でも行ったのかな?

やる気に満ちた僕は一文字ずつ書いていくことにした。


2


文字を順番に書くのが4週目に取り掛かろうとした時、家のドアが開く音がした。

「おう戻ったぞ、ちゃんと書いてるみたいだな」

おじさんは丸い形の野菜と見たことない動物みたいなのを持っていた。

「おかえりなさい、それはなんですか?」

「俺の畑で採ってきたカボルと畑を荒そうとしてたラートンを仕留めたんだ、これで昼食作るからもう少し待ってな」

おじさんは奥の部屋に入り、準備をしているのか色んな音がこちらまで響いていた。

…少し疲れちゃったな、4週目も書き終わったし少し休憩でもしよう。

椅子から降りてベッドに飛びこむ、僕が使ってたベッドより硬いけど、ベッドの上にいると不思議と落ち着く、ずっといたからかな?

僕が天井を見ながらゆっくりしていると、いつの間にかおじさんがそばに立っていた。

「なんだ休憩してるのか?、気分転換に飯でも一緒に作るか?」

「作る!」

魅力的な案に即答してしまう、料理なんてしたことがないからわくわくする。

おじさんに連れられて奥の部屋に移動する、アニメで観た台所に似てるけど色々と見たことがない物がある。

1番目を引くのは、おじさんの頭上に見える紐に繋がれたフックだ。

僕が見ているのに気づいたのか。

「これか?、これは獣を解体する時に引っかけるようのだ」

さっきまで使っていたからか赤く濡れている、まな板の上に置いてあるのが解体後のお肉、つまりラートンのお肉か。

部屋の隅に置かれてる木のバケツには血溜まりができている、この部屋が血生臭いのはこれのせいか。

「そのバケツの中のは食べないぞ、後で捨てに行くから気にするな」

血溜まりの中に浮かぶ目がこちらを見つめてきているのはきっと気のせいだろう、部屋の隅を見ない様に気をつけながらおじさんの隣に立つ。

「それじゃあカボルの種でも取ってくれるか?」

半分に切られたカボルを受け取り断面を眺める、大きな種が中心に2つ埋まってる。

「手じゃ取れないからこの針に刺して引っこ抜け」

アニメで観たアイスピックみたいなのを受け取り、言われた通りに刺してみる、見た目以上に固くないのかすんなりと刺せた。

「そんで持ち手を右向きに回した後引っ張りな」

恐る恐る回してみると、カチッと音がした、その前に持ち上げると種が取れた。

「今度は左向きに回してみな」

言われるままにやってみる、またカチッと音がなり種が針から離れた、何で?

「便利だろう?、右向きに回すと針の先から刃が出てきて引っかかることができるんだ、んで左向きに回すとその刃がしまわれて取り外すことができるってわけだ」

「へー、すごい便利ですね」

そのままもう1個の種も同じ手順で取り外す、本当に便利だ。

「それじゃあ次はカボルを細かく切る…が、お前刃物は触ったことあるか?」

「ないです」

「じゃあ教えてやろう」

おじさんは僕の後ろに立ち、僕の手を掴む。

「刃物は便利だが気をつけないと怪我をするからな、しっかりと握れよ」

緊張しながら刃物を握る、その上からおじさんが手を握る。

「物を切る時は刃物を握ってない方の手で動かない様に固定するんだ」

左手でカボルを抑える。

「それで切っていくんだが、一緒に抑えてる手を切らないように切るたびに動かしていけ」

おじさんの動きに合わせて一緒にやっていく、カボルがどんどん切れていくのが楽しい。

「上出来だ、んじゃ後は俺がやるからもう少し勉強しとけ」

濡れた布を渡されそれで手を拭く、もう少しやりたかったのにな。

「もう少しやっちゃダメですか?」

「後は煮込むだけだ、ほれ行った行った」

背中を押されて僕は部屋に戻された。


3


昼食を食べ終えた僕におじさんは1冊の本を置く。

「この本はこの世界にいる種族の事が書いてある、自分で翻訳しながら読んでみな」

おじさんはバケツを片手に外に出ていく、渡された本を開きパラパラとめくってみる、図鑑みたいに絵と文字が書かれている。

木の板と本に交互に目を動かす、一文字一文字翻訳していく、朝よりかは何となく読めるようになった気がする。

1人没頭して読んでいると。

「だいぶ集中しているな」

いつの間にかおじさんが帰ってきていた。

「おかえりなさい」

「おう、ちなみにだがもうすぐ夜飯だぞ」

…?

いくらなんでもそんなこと。

ドアを開けて外に出てみる、獣の声が響く暗闇が広がっていた。

「それだけ集中して読んでたんだな、飯食べたらその成果を聞かせてもらうぞ」

「…はい」

部屋に戻りまわりを見る、日が沈んでも読めるようにランタンに火を灯してくれていた事に今気づいた。

気を使わせてしまったら事に少し申し訳なさがあるな。

本を読むのをやめて、おじさんの所でお手伝いさせてもらおう。

椅子から降りておじさんの所に向かうが、勉強してろと追い返される、残念。

大人しく椅子に戻り再び本を読む、結構読めるようになってきた。

黙々と読んでいると良い匂いがしてきた、おかげでお腹が空いて集中力も切れてきた。

「…ご飯まできゅーけーい」

ダッシュでベッドにダイブする、勉強してろとおじさんは言ってたけど、良い匂いさせたおじさんが悪い、そんなことを考えながらゴロゴロする。

少し経っておじさんが料理を運んできて夜ご飯タイムになった。


4


「それじゃあ最初のページから読み上げてみろ」

夜ご飯も食べ終わり、本の続きを読もうとした時におじさんは話しかけてきた。

最初のページ…ここか。

なんとなく椅子から降りて、立ったまま本を前に出して読み上げることにした。

「この世には様々な種族がいる、我々は他種族と尊重しあい互いに手を取り合いながら生きていこう。願わくば争いもなく平和な日々を過ごしていきたい、著者マクルス」

「いいぞ、ちなみに魔族の文化的な本はマクルスが書いてるのが多いぞ」

へー、覚えておこう、ページをめくる。

「魔族、他種族にはない魔力と呼ばれる力を操ることができる者たちの総称である。特徴としては角があり、体格の良さがあげられる。性格は好戦的な者が多いとされるが、個人差だと私は思っている」

「マクルスは自分の考え全開で書くから読んでて面白いんだよな、それでいいのかと笑えるからな」

ゲラゲラと笑ってる、おじさんはマクルスのファンなんだな。

「人族、特徴としては探究心と発展力がある。他種族の技術を学び自分達の生活をより豊かにする為に他種族とは友好な関係を気づいている。だが他種族に比べ体が弱く簡単に死んでしまう」

他種族からすれば人間は弱く見えてるんだな。

「鳥族、大きな翼に鉤爪状の足が特徴。体を覆う羽毛で血筋がわかり、その色で何処の誰か識別をすることができる。性格は好奇心旺盛で、興味を持たれると疲れる、なお鳥族にかぎり性格はほぼこれしかいない」

「俺も会ったことあるが、半日近くしつこく付き纏われたな」

よほど何か気になったんだろうな。

「魚人族、首にエラがあり、大きな目で水の中を見通すことができ、足先と手先が薄く伸びており、これによって水中を早く移動することができ、海水や淡水の中で暮らす者たちの総称である。肺呼吸が可能なので地上でも行動できるが、体が乾燥してしまうと死んでしまうので、水の近く以外ではそうそうに出会うことがない」

「基本的にお店で流通してる魚は魚人族から買ってるんだ、やつらの資源外交品だから勝手に取ると怒られるから気をつけろ」

資源外交品ってなんだろう?、よく意味がわからないけど勝手に魚は取らない様にしよう。

「獣人族、身体能力に特化し、獣のような牙と爪と耳を持つ種族の総称である。自然と共に暮らし、獣とも共存していることもある。仲間内での信頼関係に趣を置いてるので、裏切りは死を意味する。」

「今日1日でよくそこまで読めるようになったな」

おじさんに頭を撫でられる、少しむず痒いが心地が良い。

「その感じなら読むことはもう大丈夫そうだな、明日からは書けるように練習だな」

「はい、わかったのでそろそろ撫でるのをやめてもらってもいいですか?」

ガハハと笑い僕の頭から手が離れる。

「あまり一度に詰め込みすぎても覚えられないから、今日はもう寝るぞ」

おじさんに抱き抱えられベッドに降ろされる、今日の勉強はお終いと思うと急に眠気がきた。

ランタンの火が消える前に、僕は眠りについた。


5


文字、読むよりも書く方が難しい、読める=書けるではない、断じてないのである。

僕は書いた、ひたすらに書いてはおじさんにテストしてもらい覚える、それの繰り返しを何日も何日も費やした。

新しい文字を覚えるのは簡単じゃない、簡単じゃないんだ。

何度目かのテストの末。

「やったな、全問正解だ」

「ヤッター!!!」

思わずガッツポーズをとる。

「後はまた日を開けてテストしてみて、それで満点ならもう大丈夫だろう」

確かな手応えがあったから次も大丈夫なはず、ここのところひたすらに書くことを頑張っていたから他のことがしたいな。

「文字の読み書きももう平気そうだし、次はお金の勉強だな」

机の上にいろんな色のコインとお札が並べられる。

「まずこの世界の通貨は全種族共通だ、価値は左から順番に、銅貨、銀貨、白金貨、金貨、お札の全5種類だ」

「このお札に書かれているのはなんなのですか?」

卵に翼が生えているものが描かれている。

「これは幸運の神と呼ばれてるラジヌ神だな、まぁ幸運の象徴で使われることが多いんだ」

不思議な形の神様もいるんだな。

「まぁマナーみたいなものだが、魚人族は基本水中にいるのが多いから紙でできてるお札を使わない、鳥族は硬貨が多いと飛びづらくなるらしいからなるべくお札を使う、これらは覚えておくといいぞ」

いちいち嫌な顔されるのは嫌だから覚えておかないとな。

「基本的には物の価値は何処の種族も似たようなもので統一されてるから、変な所で買わない限りは騙されることも少ないぞ」

何がいくらで売られてるか覚えるまでは気にしておこう。

「実際に買い物に行くのがいいから近いうちに行くか」

「わーい」

考えてみればこの世界に来てからまだおじさんの家に引きこもって勉強しかしてないから、この提案は素直に嬉しい。

「次のテストも満点なら何か好きな物を買ってやろう」

「本当ですか!?」

「おう」

俄然やる気がでてきた僕は、次のテストに備えて予習復習を始めた。


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