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第55話

 見下された事への怒りに震えるゴミゴブリン、しかし俺の殺気をぶち当てると速攻でまたビビった。


「…馬鹿な、ありえない。あの二人には腰布のヤツ以上の力を与えていたはずだ!」


「だからなんだよ、俺から見れば腰布もあの誠和とお前の嫁のゴブリンメイジも同じ程度の雑魚なんだよ」


「ぐっちっ小さな穴が開いたとはいえ、バリアは今も健在だ!」


 戯れ言だな。

 もはやそのバリアには何の意味もないことをいい加減このゴミゴブリンも理解できるだろう。


 俺のスキル『レインボーフレア』を完全に発動する。

 虹色の炎が俺の全身を包み込み……。

 俺の衣服を消滅させ、俺を全裸にした!


「なっ!? 何故今、裸になるんだ!?」


 うるさいよ、気にすんな。


 このスキルのイマイチ使いどころがなさそうだった特殊な能力それは称号『七光りの撃滅者』と言う対七光りとの戦闘において俺のステータスを超強化するという称号の特殊能力を上乗せするというものだ。


 ダンジョンモンスターに七光りとかそんなにいるのかよ、と手に入れた当初は思ったものの、そもそもこのスキルを手に入れた時に戦ったのが七光りスライムだからな。


 探せばそういうヤツが現れるダンジョンとかがあったりするのかもしれない、そんなことをこのスキルについて考えている時は想像していたのだが。


 よもやこの七光りキラーとも呼べるスキルを持つ俺の目の前に昔からクソみたいな因縁のある七光りの五味川がボスとなったダンジョンが現れるとはな……。


 ここまでいくと、ある意味運命的な何かを感じるな。

 全く以て楽しくも何にもない運命だがな。


「あっ……もしかしたら五味川。お前という七光りが人間だった時から散在クソだったのも、俺がお前の会社で散々理不尽な目にあったのも、全ては今日この時にお前という存在を清算する事で。俺が本当の意味で自由な探索者になるためだったのかもしれないぞ?」


 俺は運命の答えに辿り着いた。

 しかしゴミゴブリンは反論してきた。


「黙れぇええっ! いきなり全裸になり、いきなり訳の分からんことベラベラとぬかしやがって……死ねぇええっ!」


 ゴミゴブリンは自身が座っている椅子から立ち上がり、手にした錫杖を振るう。

 錫杖が巨大な剣へと変化した。

 それを思いっきり振るうゴミゴブリン。


 すると何かのバトル漫画みたいな感じで刃から飛ぶ斬撃が放たれる。

 それはバリアを素通りして俺に直撃した。


「しかし残念、お前の斬撃は俺の身体にかすり傷一つつけることはできませんでした!」


「馬鹿な………そんな馬鹿なぁあっ!?」


 人間寄りのゴブリンフェイスが驚愕に歪む。

 人間の要素が少しあるからめっちゃ驚いてるって事が分かる、本当に不細工だな。


「こんなこと……有り得るわけがない、有り得てはならんのだーーー!」


 ゴミゴブリンの連続斬撃飛ばし攻撃の猛攻が俺を襲う。

 にしても何の意味もないというのと分かってるのによくやるな~。


 とりあえずヤツが疲れるまで好きなだけ攻撃させておくことにした、なんか無駄な事をしてる馬鹿の姿が哀れに見えたのかも知れない。


 その間は暇なので俺はまた過去のことを思い出す。

 理由とかは特にない。

 思い出すのはかつてこのゴミゴブリンこと五味川らしき存在が俺だったり他の社員だったりに散々言っていた言葉だ。


 こいつは暴言を吐く時、周りに人間がいても関係ない、その上で工場内に響くくらい馬鹿でかい声で言うんでどこにいても何を言ってるのかが分かったもんである。


「いいかっ!? 会社っていうのはな、お前ら雇った人間に残業を命令できる権利があるんだよ。だからお前らは俺たちの経営者の言うことに逆らうな黙って働け! そもそも残業をしたくないなんて意思そのものを持つなぁあーーっ!」


 俺は高卒なので残業を強制できる権利がある云々についてはよく分からん。


 ただ残業をしたくないという意思を持つなってお前……そんなことを口に出して言ってる時点でお前という人間の程度が最低以下のクソ野郎だってことはよくわかったよ。


「コレだけは言っておく、ウチは断じてブラック企業なんかじゃない。なぜならこの前ネットで調べた時に社員に一ヶ月間に残業させていい時間以内でしかウチは残業をさせていないからだ! 分かったか!? どんなにギリギリでも法的にはこの会社はブラック企業なんかじゃないんだよ!」


 本当にブラック企業なんかじゃないって思ってる会社の人間はそもそもネットでブラック企業に当てはまる会社の条件をそんな必死こいて調べたりしないと思うぞ。


 そんなことしてる時点で、お前は自分の会社がほぼブラックだってことを自覚してるんじゃねえのか?

 してなかったらある意味大したもんだ。


「また休むだ? 子供? 本当にこれだから女ってヤツは……」


  個人でも問題だが経営者、会社組織の上がこんな言葉を口にするんだから呆れるとしか言えないよな。


「ウチがこれだけ給料を出してやってるのに、本当にお前らは払った給料分くらい働けやぁあっ!」


 ここの給料ってさ都会じゃなくて田舎の方の最低賃金で計算した金額しかもらってねぇよ?

 一ヶ月の給料が低すぎて、車を車検に出す金もねぇから俺は車を手放したんだぞ。


「今この会社は忙しいんだよ、何ヶ月も毎日残業させてるんだからそれくらいわかるだろ? なのになんでお前らは自分たちの方から休みを返上して仕事をしようとは全く言ってこないんだ!?」


 俺から言えることは一つだ、ゴールデンウィークの連休を虫食い穴みたいな状態にしてまで仕事した俺に対して「いつも機械みたいに働いて何を考えてるかわからないやつだったが、少しは日影でも会社のために働いていたぞ」とか言ったよな?


 そんな舐めたことを言うカスの為にゴールデンウィークを駄目にした自分を呪ったね。

 俺はその次の年からは二度と休みを返上してこの会社のために働こうなんて思わなくなったよ。


「……この会社のピンチが! 俺のピンチがお前らには分からないのか!? 今お前たちの目の前でこの俺が川で溺れようとしている、なのにお前らはそれを見て見ぬふりをして手を差し伸べようともしない、お前らは恥ずかしくないのか、恥を知れっ!」


 恥ずかしいのも恥を知るべきなのも全部お前だよ。

 しょうもない被害妄想を爆発させるな。


  人がお前に手を差し伸べない理由?

 そんなもんお前が『手を差し伸べられるに値しない人間』だからだろうが。


 そもそもお前が社長になった段階で一番経験を積んだ能力のある人たちは別の会社に移っていったし、 他に残っていた先輩も半年かそこらでみんな辞めただろうが。


 その理由の大半がお前とお前が関わっている碌でなし連中が理由だったぞ。


 そもそも社員の数が半減すれば仕事出来る量も減る。

 それを前の年以上に利益追求が会社の方針だとかほざいて無理なスケジュールで仕事をさせようとするお前が莫迦ばかなんだよ。

 

 いきなりこれから毎日残業ですって言われてそれが何ヶ月もそれが続くってこと自体こっちから言わせればふざけんなって状況なわけだよ。


 その上で休日返上で働けだ?

 しかもそれを俺達社員側の方から言ってこないのがおかしいだ?


 一体何ドラマの何の場面を脳内でシミュレーションしてんのか知らんが。

 お前見たいな盆暗ボンクラ、そもそもドラマの主役なんかじゃないんだからな?


「……うんうん。いくら思い出してもお前らに対しては腸が煮えくりかえるような怒りしか思い出せないわ(ニッコリ)」


 ゴミゴブリンの攻撃が止んだ、見ると肩で息をしてる。

 疲れたんだな、あの大剣見るからに重そうだし。


「五味川、さっき責任について話をしたよな。俺にも取るべき責任はある……それはお前らの罪はここで俺が裁くことだ。逃がさねぇぞ?」


「アッアァ……ウォオオオオオーーー!」


 五味川が口を開ける。すると口から何か出てエネルギー砲みたいな攻撃を放ってきた。

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