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第51話

 このダンジョンに入ってしばらく経った、そして俺の足が止まる。


「……もうここが最後の扉か」


 本来はかけないような時間をかけて、無駄に広いだけで宝箱の一つもない激シブダンジョンで人捜しを続けたが…結局誰も見つけられなかった。


 残ったのはやたらと仰々しく、それでいて禍々しい両開きの門、それ一つが目の前にあるだけだ。


 おそらくこの先にはダンジョンのボスがいるのだろう、正直ボスなんて全く興味もないしどうでもいいのだが…。


 もうここ以外は調べ尽くしたので仕方がない、普通はさっきの腰布ゴブリンの時みたくボスの扉って探索者が目の前に来たら自動的に開くもんなんだが………。


 開かないな。軽く押してみるが開かない、ノックをしてみるが反応がない。


「おいっこの扉開けろ、中のヤツ瞬殺してやっから! さっさと開け上がれ!」


 中からの返事なんか当然ない、扉も当然開かない。

 俺はムカついたので少し強めにその扉ぶん殴った、 扉は破壊されて吹き飛んだ。

 というわけで中に侵入する。


 すると中から声がした。


「ほほう、我がダンジョンに侵入した愚かな探索者が……身の程も弁えず我が領域に侵入してくるとはな……」


 ………本当にイラッてきた。

 こっちがあんだけ開けろと言っても居留守を使っていたクソ虫野郎が、何を全てなかった事にしてんだよ。


「そういう無駄な役作りとかどうでもいい、さっきから異様に俺を避けてるへっぴり腰のクソ野郎が、さっさと面見せろやボケ」


「なっなんだとぉおおっ!?」


 そしてボス部屋の奥にある無駄に大きくて金ピカの目立つ椅子にエラそ~に座っているバカがいた。

 おそらくゴブリンキングと思われるモンスターだ。


 無駄に豪華な衣装を身につけ、赤いマントをはおり、王冠を頭にのっけていた。

 右手には金細工を施された錫杖を手にしている。

 なんか全力で成金の王様を体現したような姿のゴブリンキングだな。


 本来の危険度ランクはBはある強敵。

 しかし目の前のこのゴブリンキングはやたらと肥満体型でそして頭に髪の毛があるのだが、どういうわけだかバーコードである。


 以前ダンジョン配信で見た動画のゴブリンキングはもう少し戦う戦士として格好いい感じがしたんだけど……コイツにはそんなものは一切感じなかった。


 そしてヤツもまたただのゴブリンよりかは人にどことなく近い面影が顔にあった。

 その冴えない顔とバーコード、そして肥満体型という特徴……悲しいことだが俺には心当たりが当たった。


「お前……あの馬鹿な2代目の七光り、無能の五味川大助ごみかわだいすけだな!」


「貴様やはり日影か! と言うか無能のとはどういう事だゴラアッ!」


 やべっ仲間内でつけてた二つ名を本人に言ってしまったかもしんない。

 いや、まだ五味川で確定してる訳じゃないからギリギリいけるか?


 だが俺の言葉に反応して俺のことをやはりとか言っている……いやっ! こいつが俺の知る人間の七光りこと五味川である確証はまだないし、そこら辺について細かく詮索するつもりも……俺にはない!


 正直そんなところに気を向けるのも疲れた、もうさっさと相手をしてやろう。

 俺の前の目の前にいるのは少し特殊な個体のゴブリンキングだ、あくまでそういうことにする所存である。


「まさか、我がダンジョンを最初に訪れるバカなエサが貴様とはな……常日頃から我の言うことを聞いて動くだけの機械のようだったお前が、下らん自我を持ったと見えるな?」


 こいつ腰布と同じような事を…本当にこのバカな2代目七光りは口を開くだけで周囲に不快感を撒き散らす天才だな。


「お前の無駄話はどうでもいいんだよ。それよりここに本来いるはずの他の社員たちはどこにいる、全員生きてるのならさっさと出せ……そしたら見逃してやるぞ?」


 ここに来るまでの収穫はゼロ、つまり誰も人間を発見することができなかった。

  要はもしここにも人間がいないということになれば……。


 俺の言葉を聞いたゴミゴブリンがあの不細工な顔さらに不細工にして笑顔になった。


「我の言葉を無視するとは……お前は随分と身の程をわきまえなくなったな? このダンジョンは我の支配する領域、そして世界だ。そこで我の意に従わぬ愚かな者たちの存在などゴミに等しい。そんなゴミどもの存在を我が許すと思うか?」


「………………あん?」


 そんな舐めたことをゴミゴブリン言ってきた。

 お前は今言った言葉の意味を理解しているのか?

 ゴミゴブリン、いやっ五味川……お前は俺を本当に怒らせたぞ。

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