表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/60

第46話

 ダンジョンに足を踏み入れ、まずはその内部を観察する。

 ダンジョンの中はどこかの海外にある宮殿か何かのような、やけに派手な内装をしていた。

 赤い絨毯とか敷かれてる、なんでだ?


 こんなところにも本当にモンスターが現れるのか? 場違いにも程があるぞ。

 なによりモンスターの気配をほとんど感じない。

 それとここは通路が一本道で迷う心配はないみたいだ。


「まずは出来たばかりのダンジョンなら罠には気をつけておくか」


 ダンジョンの罠は一度発動しても時間が経てば復活するなんてゲームみたいな仕様ではないので安全だ。


 …と言うことはだ、つまりは誰も探索してないダンジョンや未発見エリアだと普通に罠がある可能性が高いって事なんだよこれが。


 俺はトラップサーチや危険感知なんて便利なスキルはないので……。


「あっ」


 絨毯の下にあったらしき変なスイッチを踏んだ、壁に無数の穴が開いてそこから矢が大量に発射される。

 俺は両手を振るい全ての矢を蹴散らした。


「やっぱ一筋縄じゃいけそうにないな」


 ダンジョン側からすればお前が言うなっとか言いそうかもな。

 まあ気合いを入れ直して探索開始だ。


 そして、しばらく探索をして気づいたことがある。

 この無駄に派手な内装、壁に高そうな絵画だったり台座の上には装飾がされた高そうなツボだったりが置かれている。


 しかしそれらは全て接着剤かないかでくっつけられたかのように取り外しができない。


 というか実際にある本物ではなく、ダンジョンの壁や地面がそのような形に姿を変えているだけのように感じた。


 いわゆる『見せ掛けだけの何か』だ、虚飾とでも言えばいいのか、そういう妙な思考が働いているダンジョンというのにはこれまた妙な仕掛けが施されていたりする。


 少し用心をする必要があるな。


「それにしても俺の勤めていた職場がダンジョンになるとはな、まああの噂が本物ならいつなってもおかしくはなかったんだが…」


 都市伝説の類の話だ。

 ダンジョンというのは人間の嫉妬、怒り、怠惰、絶望といった負の感情が集積したたまり場のような場所に出現しやすい。


 そんな話があるんだ、あくまで噂程度のものだがな。

 しかし現実的な話とするなら貧富の差が激しい格差社会、あるいは人が人を使い潰すようなストレス社会。


 そういったものが国の問題点として挙げられているような国のダンジョンの出現率はそんなイメージを持たれていない国の数十倍を超える。


 そしてこの日本という国は小さな島国でありながらダンジョンの出現数は世界でもトップファイブに入る。


 ふんっなかなかに信憑性が持てる数字だな、あるいはそんな現状だからこそこんな都市伝説があるのかもしれない。


 多分ここはそんな感じのブラック会社ダンジョンてやつだ。

 まったく、この世界じゃブラック会社に勤めれば社畜でストレスフルな毎日だというのに下手をすれば余所よりもダンジョン災害に遭う可能性が高くなる訳だ。


 なんと言うか、とことん理不尽な世界に怒りしか感じない。

 案外その都市伝説が本当かどうか今回のダンジョン探索でわかったりしてな。


 そんなことを考えながらダンジョンの奥へと進む。

 何個か普通なら死にそうなトラップに巻き込まれそうになった…と言うか巻き込まれたが俺の場合は何の問題もなかったので力ずくで排除しながら進んだ。


  やがて一本道は終わる。

 そこから先は階段だ。そこまで長くはない、その階段を降りた先に結構大きな両開きの扉があった。


 これまたダンジョンのテンプレシステムだが人間がこの扉の前に立つとドアが独りでに開くのだ。

 そしてその先に現れるのはいわゆる中ボスと呼ばれるかなり強めのモンスターって所までがテンプレな。


 まっそれはあくまで他のダンジョンではの話、このダンジョンも果たしてそうなのかは行ってみなければわからない。


 思えば『神殺し(偽)』の称号を得えてから雑魚モンスターの相手は散々してきたが、中ボスクラスのモンスターの相手はさすがにしてきていない。


 負けん気はしないな油断をしていい訳ではない。

 意を決して俺は扉の前に立つ。

 俺の想像通り巨大な扉は独りでに開いた。

 そしてその先に進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ