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第44話

 俺と天海はひと息ついていた。


「…うん、やっぱり地上の空気が一番うまいですね」


「はい、そうですね」


 俺たちはダンジョンを出た、ちょっとパーティーを組んだメンバーに不具合があったからな。


 いきなりダンジョンにこもるとかバカなことを言い出した恐るべき鬼軍曹愛華を前に俺と天海は2人で連合軍を結成。


 さながらレジスタンスが如く協力プレイで鬼軍曹の説得を開始した、そもそも天海はギルド職員なので、明日は普通に仕事なのだと、俺の方もそんな連日なんて潜ってるような暇はないと言った。


 それに対して愛華はギルドで働く時間帯だけダンジョンを出ればいいとかあゆむはどうせ暇に決まってる暇でしょと全く聞く耳を持たなかった。


 この時点でもう放っておいて帰ろうかと思ったが倒したモンスターの魔石は全てヤツの異空間収納のスキルで異空間に収められている、つまり今日の稼ぎを人質に取られている状態だったのでそれもできなかった。


 その後もなんやかんやと頑張って、なんかこうっいい感じに気分を良くさせた上で譲歩を引き出すために俺たち連合軍は頑張った。


 結果としてダンジョン探索でかかった以上の時間を費やしてどうにか鬼軍曹の暴走を止めることに成功したのだ。


 その代償として近いうちにまたこの鬼軍曹のダンジョン探索に付き合わされることになったがな。

 なんとか天海はその理不尽から外すことはできたのだが俺は逃れられなかった。


 晴れ渡る青空を見上げる、しかし俺の心はどんよりと暗かった。

 これからさらに暗くなることをする必要がある、何しろ辞める職場に行かなきゃいけないからだ。


 色々と疲れた俺と天海はダンジョンの入り口にて愛華と別れた、アイツはまたダンジョンに向かうらしいが知ったことじゃない。

 俺達は探索者ギルドに事の経緯を報告する為に戻った。


「とりあえず俺は探索者ギルドに行って、自転車取りに行きます」


「私ももう帰ろうかと思います」


 本当にご苦労様です、俺は内心で彼女の頑張りを労った。

 ちなみに今回の稼ぎは結構大きかった。

 魔石もそうだが装備品のドロップアイテムが幾つか出たのだ。


 そして俺が素手なのを何気に気にしていた愛華と天海が優先的にそれらを譲ってくれたのである。


 リザードマンが装備していた剣、『蜥蜴人の長剣』とグレースフィアの外殻を模した様な盾『灰玉の円盾』をゲットだぜ。


 探索者としてこう言うドロップアイテムを手に入れるのは普通に嬉しい。

 あっスマホが震えた。

 メール……いやっ電話か?


「はい、もしもしどちら様ですか?」


 知らない女性の声だった。


「はい、俺が日影歩ですが…そちらは誰です……はい……警察?」


 何やら警察官を名乗る女性から連絡が来た。


 一体何だろうかと思い警戒をしてしまう俺、別にやましいことなんか何もしていないのだが基本的に普通に車を運転してるだけでも道端で警察官を見かけると一旦停止とかちゃんと出来てたっけとなるタイプの人間なんだ俺は。


 何かわけのわからない詐欺師が警察官を名乗っているという可能性もあるにはあるからな、そういう詐欺電話なら、それに時間を取られることすら大っ嫌いだ。


 そんなわけで本物だろうが偽物だろうが俺はこの電話の向こうの相手を警戒してる。

 すると電話の向こうの女性が俺にこんなことを言ってきた。


「あなたが勤めていた会社なんですが……誠に申し上げ難いのですが…」


「なんですか? 早く説明をお願いします」


「日影さんどうかしましたか?」


 俺は天海から声をかけられたが無視した。

 スマホに耳を傾ける俺に電話の向こうの相手は本当にふざけた事を言ってきやがったからだ。


「……ダンジョンになっているみたいなんですよ」


「…………………は?」



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