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第39話

 ダンジョン『搾取王の灰道』の内部はその外見とかなり酷似している、灰道の名が示す通りここは灰色のブロックを敷き詰めたような石畳の道が永遠へと続いていた。


  ダンジョンの中は外見の構造物の数十倍は広大で、その天井は闇である。

 天井が高すぎてその先は見えないのだ。


 ダンジョンの灰色の道以外は起伏が激しく、石のブロックが無数に積み上がったりしている。

 その灰色の道はダンジョンの中をぐるっと一周するように配置されていて回るだけならダンジョンのモンスターの出現率はまあまあ程度の頻度で現れてくるのだ。


 だがそれはあくまでこのダンジョンの第1階層を周回すると言っただけの話だ、ここはダンジョンである、しかも別の階層があるタイプのダンジョンだ。


 このダンジョンは塔だ、その上層部にはさらなる階層が広がっているというのがこの『搾取王の灰道』の基本的な構造だ、つまりこの灰色の道をぐるぐる回ってるだけではその上の階層には行けない。


 その上の階層に行くには、この灰色の道から無限に広がるように乱雑に積み上げられた石のブロック、 それに隠れるように存在する上の階層へ続く階段を見つける必要がある。


 当然その積み上げられたブロックは結構な大きさで、階段もなければハシゴも坂道もない。

 そんな見上げるくらい大きい石のブロック、それを登る方法は限られる。


「 一つ聞くけど、あゆむと絵理はステータス的にはこのくらいのブロックだったらジャンプで越えられる? それか飛行したり出来るスキル持ってたりしない? 私としてはさっさと上の階層に行って探索したいんだけど」


 様子見程度の探索って話はどこ行ったんだよ、まさか本気で上の階層に行く気じゃないだろうな。

 そんな事したら俺が今日中に帰れなくなるだろ。

 しかしリーダーは愛華なので多少はどう動くのか様子を見る事にした。


「俺は別に問題ない、だが天海さんは多分無理じゃないか?」


「すいません私のセットしてる称号だとそこまでのステータス補正はありません」


「そう、それじゃあこの階層の連中を相手にしてみて新しい称号はゲットできるように頑張ってみる?」


  今宮みたいな初心者探索者ならともかく、今日中に天海が新しい称号をゲットするとか結構な無理ゲーな気がするぞ。


「すいません、私はもう何度もこのダンジョンに通ってここの階層のモンスターを倒していますが称号は入手できていません」


「そうっそれじゃあ望み薄かもしれないわね、なら私かあゆむがあなたを抱っこしてジャンプしてブロックの上に移動するしかないってことかしら?」


「そんなことをできる程ステータスが高いのか愛華は?」


「無理ね、私の称号は身体能力よりも魔力関係のステータスの方の補正が高い称号だから。あゆむ、あんたの称号はどうなの?」


「花鳥さん、さすがにそこまでしてもらわなくても……」


「ステータスの問題はない、別に俺はいいぞ。ただ背負うかお姫様抱っこかっ選んでもらう事になる」


「もっ問題ないんですか?」


「問題ないですよ」


 と返事をして姿勢を低くする、とりあえずお姫様抱っこはないだろうから背負う方で動いた。


「……なっならお願いします」


「分かりました」


 いままで人をおんぶしたことはない、以前今宮を連れて逃げた時は脇に抱えてダッシュしてたからな。

 だがステータス的には問題もないだろう、天海をおんぶする。


 すると背中に柔らかいものが当たった、さすがにこんな場面でそんなところであたふたするのは青春真っ盛りな少年くらいなものだがな。

 俺は大人なので勤めて冷静な態度をした。


「………あゆむ、さっきから視線が泳いてるけど、どうかしたの?」


「別に何も?」


「でっできれば早く移動して欲しいんですけど…」


 どうやらこっ恥ずかしいのは俺だけではなく天海もそうらしい、そりゃそうだよな。


「分かりました、それじゃあ行きますよ!」


 そう言って俺は少し力を込めてジャンプした。

 見上げるくらいの高さはあった石ブロックを優々と飛び越えてその上に着地する。


 天海は結構に驚いてる表情をしていた、ちなみに愛華の方も普通にジャンプして俺の隣に着地する。


「さてっそれじゃあ早速お客さんってことかしら?」


「…どうやらそうらしいな」


 この『搾取王の灰道』灰色の道を横にそれたこのブロックのエリアに侵入した場合、モンスターとのエンカウント率が爆上がりする。


 モンスターたちの声が聞こえてきた、戦闘開始のお知らせってことだ。

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