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第37話

「久しぶりね、あれから元気にしてたのかしら?」


「まあぼちぼち…かな…」


「まあぼちぼちかな……じゃないわよ! あんた、ふざけているの!?」


 何がだよ、会ってちょっと会話をしたらいきなりキレられたんですけど。

 本当に何なんだよこいつは……。


「ふざけるって何がだ? ってか何をそんなに怒ってるんだよ」


「別に怒ってないわよ、ただこの私がメアドや電話番号を教えてやったって言うのに連絡の一つも寄こさないっていうのは気に食わないのよ!」


「仕方ないだろ、あの時も言ったが俺はスマホもなくなってたんだから」


「それは知ってるわ、だからそっちのメアドや電話番号は教えてもらってないでしょ」


 確かに以前コイツからメアドや電話番号を教えてもらった、俺の方はスマホもなくなっていたしメールも電話番号も覚えてもいなかったので教えることはなかったのだ。


 というかこいつも探索者だしてっきりもう別のダンジョンにでも行ったと思ってたからもう会うこともないと思ったんだよな。


「もう他の所に行ってると思ってたんだ。だから連絡とか特にしなかった。まさかまだこの近くにいるなんてな」


「こっちにも色々事情があんのよ…」


「事情がね…まあ探索者の中にはそういうやつの珍しくはないだろう、あまり込み入った話はしない」


「ふんっ少しくらいなら込み入った話も構わないけど?」


 俺が構うよ、面倒事に巻き込まれたら嫌なんだから。

 そんな世間話をしている俺たちだった、するとさらにそこに話しかけてくる人間が現れた。


「あらっあなたは日影歩さんですか?」


「………ん?」


 声した方へと振り返ると、そこには以前探索者ギルドで受付にいた天海絵理がいた。

 但しその服装はギルド職員の時のウーマンスーツ姿ではない。


 全身は身体のラインが出てる黒のボディスーツで要所を金属製の防具で補強したコンバットスーツみたいな装備をしていた。


 その上にポケットが沢山ついている黒のジャケット、足には黒のブーツ、腰には二丁の拳銃まで装備してる。

 なるほどつまり……。


「天海さんもダンジョンに来たんですね、まさか探索者を兼業してるギルド職員だったとは少し意外でした」


「ふふっはいその通りです、これでも現役の探索者なんです」


 探索者ギルドの職員は基本的に全員がライセンスカードを支給されている。

 ダンジョンにも何度か行くことも仕事のうちらしい。


 中には兼業などをして本格的にダンジョン探索をするような職員もいる、天海もそうなのか。


 ギルド職員がライセンスカードを持つ理由は簡単だ、何しろ探索者ギルドには称号のステータス補正で強化された探索者が集まってくるからな。


 中には碌でもないやつとかもいる…可能性もある。

 そういう風な連中をから身を守るには職員自身も称号やらステータス補正やらを手に入れる必要があるのだ。


 まあギルドで問題を起こした探索者は他の探索者から袋叩きにされるからめったにそんなバカは現れたりしないんだがな。


 ちなみに探索者ギルドで職員に暴力を加えた探索者はボコボコにされた後に速攻で警察に捕まるが、その探索者を袋叩きにした探索者たちが捕まることはない。


 何故なら……今の日本の法律とはなんかそんな感じになっているからだ。詳しくは知らん。


「2人はパーティーを組んでいたんですか?」


 天海がすっ頓狂なことを言ってくる。

 そんなわけないでしょうっと言い返そうとしたら花鳥が先に口を開いた。


「まあそんなところね、今日はこれから『搾取王の灰道』に向かおうと思ってきたわけよ」


「なるほどそうだったんですね…」


「そういうことよ。ほらさっさと行くわよ」


 なぜかわからないか俺はコイツとパーティーを組むことになってしまった。


「……まあ別に探索メンバーが1人や2人増えたところでも問題はないからいいが」


「あっそれなら私も一緒にパーティーを組んでもいいですか? ソロだとさすがに危険も多いので、いつもは臨時で他の探索者の方とパーティを組んだりしているのですが…」


「そうですか、俺は別に構いませんよ。どのみち急造のパーティーですしね」


 本来なら俺の場合はソロで探索するのが一番いいのだが、別に複数人で探索のが苦手って訳でもない。


 昔はパーティーを組んで普通にダンジョン探索をしてたんだ。

 増えるというのなら1人でも2人でも同じことだ。


 むしろ人の顔と名前を覚えるのが苦手な俺がその顔と名前を覚えてる人間と組めるだけありがたい、やっぱり赤の他人よりかはまだマシだろ。


 ちなみに花鳥の方からは若干つり目で俺を睨まれてる。

  お前……自分は問答無用で人をパーティーメンバーに巻き込んどいて、なんつ~目で睨んでくるんだよコイツは。


 理不尽過ぎるやつだ。


「それでは『搾取王の灰道』への探索手続き等は私がしてきますね」


「分かりました、それじゃあお願いします」


「…………そうね、頼むわ」


 そして探索者ギルドでの申請は特に問題なく進み、俺たちは改めてダンジョンへと出発した。


 ちなみに他の2人は徒歩で行くらしい、俺はレンタルした自転車を探索者ギルドの駐車場にでも止めておくか。

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