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第27話

 翌日は晴天である、仕事に行く必要がないのに今宮の為にダンジョンに行くことになってるのが少し勿体ないくらいに良い天気だ。


 昨日はアイツを空いてる部屋にを放り込み、俺は寝室で寝た。

 そして目を覚まして現在である。


 朝早くはだいぶ肌寒い、もう寝たい、仕事を辞めた俺には時間に余裕が生まれた筈なのになんで起きてんだ俺。


 しかし時間に余裕があるのは良い、話は変わるが俺はいくつか新しい趣味を始めた。


 その一つが朝の散歩だ、ランニングとかは今の所やる気が起きないがこんな風に散歩をする時間を作ったのだ。


 特に朝はこの辺りも人がほとんどいないのでちょうどいい、田舎のそれもどちらかというと山の麓に近いこの場所は車の通りも割と少なく静かだ、夜に眠る時も車の音が気にしなくていいのはとても助かる。


 ……が、たまに頭が狂ってるのかコイツは? と思うくらい爆音を上げながらバイクが道を登っていくこともあるがな。

 いずれヤツらはボコボコにしてやろうかと思っている。

 …ムカつく事はさっさと頭の中から追い出そう。


 スマホがないので詳しい時間は分からない、だがむしろそれが良いと感じる気分だった。


 なんとなく一時間そこらくらい経っただろうか、それくらいの時間を散歩して俺は家に戻った。


 すると今宮のやつがリビングにいた。

 起きたからといって朝食を作るなんて事は一切なくふてぶてしくも眠たそうにしている、食い物が出て来るのを待っている顔だ。


 ボ~としてるので今のヤツなら冷凍してガチガチの凍った鶏肉でも出したらそのままかじったりしてしまいそうである。


「おはよう、昨日は眠れたか?」


「ここって夜はかなり静かなんですね。最初は少し怖かったけど馴れると快適でした」


「そいつは良かったな」


 そんな他愛ない会話をしながら取り敢えず冷蔵庫の中に入れておいた昨日の余り物を取り出す。

 食品ロス対策だ、これが朝飯代わりである。


「温かいものが食いたいんだったら言え、どうせ出掛けるからその時にコンビニに行ってくる」


「コンビニはいいんで、一体どこに行くのか教えてくれませんか?」


「どこに行くかって? ダンジョンに行くんならまずは装備を買うことから始めないといけないに決まってんだろ」


「えっそんなの初心者でも問題ないようなダンジョンに行けば装備とか必要なくないんですか?」


「装備がいらないダンジョンか…確かに不人気ダンジョンとかなら危険度も低いからそういうところはあるかもだが……」


 そう言いながらも俺としては不安ではあった。


 はっきり言って現実世界に現れたダンジョンはゲームみたいにご都合主義満載の甘い場所ではない。


 初心者専用で、誰でも問題なく探索できるダンジョン? そんなバカみたいなダンジョンはないのだ、気を抜けば難易度の低いダンジョンですらそれなりに経験を積んだ探索者だって死ぬ時はあっさり死ぬ。


 この前の不人気ダンジョンの大群スライムを前にした花鳥がいい例だろう。

 あれだけスキルや装備を揃えたやつだってどうしようもない理不尽が時折ダンジョンでは起こりうる。


 だからこそ本音を言えばこの人生を舐めプしてる後輩にはあまり行ってほしくはない。


 顔も名前も覚えてる人間がダンジョンで死にました、なんて話はできれば聞きたくないからな。


「まあそういうな、ここは探索者の先輩の言うことを聞いとけ。金を出すのは俺だからあんまり高いもんはどうせ買えないがな……それに今宮、お前はダンジョン関連のショップに行くのは初めてだろ。どんな物や装備が売ってあるか、まずは目を通しておくのも悪くないだろう」


「なんかかっこ悪いことと格好いい事を混ぜこぜに言ってますよね先輩って」


「やかましい」


 そんなこんなで俺たちはまずダンジョン探索者たち御用達のお店の一つダンジョンショップへと向かった。

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