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第26話

「……お前このライセンスカードにある称号何なんだよ、こんなの聞いたことないぞ?」


「そうでしょうそうでしょう、探索者ギルドにいた受付のお姉さんも初めて見る称号だって驚いてましたよ?」


「マジか、んでこの称号はすごいのか?」


「……その称号の名前と内容を確認したら無言になって視線を外されましたよ」


 なるほどな、この寄生型探索者見習いというどう考えても禄でもないイロモノ称号についてちょっとライセンスカードに記載されている情報を読んでみるか。


【寄生型型探索者見習い】

【他の探索者に寄生して成り上がる気満々のちょっと色々困った性格の人間に与えられる称号、この称号を得るということは生粋の寄生型人間なのであまり称号を持っていると回りに喋らない方がいいだろう、何故なら周りから人が消えていくからだ。】


「…………… 今宮、お前さマジで人生いろいろ考えた方がいいぜ?」


「人生無計画という点において他の追随を許さない部類に入る先輩には言われたくありません」


 コイツ……俺をやたらと下に見るこのスタンスはこんなカス称号を得ても変わらないのな。

 こっちはお前、神殺しとか持ってるんだぞ? 偽物だけどな。


 それなのに寄生型探索者見習いに下に見られるとか屈辱以外の何者でもないんですけど。

 まあ他に持ってる称号が『七光りの撃滅者』だけどな俺。


「えっと…それじゃああれか、本当に探索者になったってことは……」


「その通りですこれからダンジョンに行って荒稼ぎしましょう先輩」


「お前装備とか持ってるのか?」


「武器とかですか? 持ってるわけないじゃないですか、何のためにここに来てわざわざ先輩待っていたと思ってんです」


 本当にイイ性格をしてるよこの後輩は。

 こうして俺はアルバイトの後輩から探索者の寄生型後輩へと進化した恐るべき碌でなしと共に、再びダンジョンに向かうことになった。


「…言っとくけどダンジョンに行くのは明日だからな、今日はもう疲れた」


「えっ私お金ないんですけど?」


「だったら部屋貸してやっから適当に泊まれ」


 ここは平屋だが1人くらいなら部屋を貸すくらいの空き部屋はある。


「先輩が日頃使っている家で…泊まれと? 本当に大丈夫でしょうね。スケベ心とか出したらさすがに警察に連絡しますよ?」


 こいつはたまに自己評価がめっちゃ高い時があるんだよな、鏡で自分のことを見て言ってるのだろうか……いや見てるからか、外見だけは確かにレベル高いからな。


「お前は本当にその口の悪さと性格の悪さをどうにかしなきゃな、じゃないと色々あれだよ」


「一番大事な部分を全てごまかしましたね先輩」


 当たり前じゃんだってそのまま言うと侮辱罪とか誹謗中傷になりそうだしな。


 というわけでその日の晩飯は適当にコンビニで買ってきたサンドイッチやらおにぎりやらと各種ペットボトル飲料である。


 自分のためにも料理しない俺がこの人様を舐めきったスタイルの後輩のために料理とかする気が起きるわけがない。


 それに対して後輩は何やらぶ~たれながら文句を言ってきたが、だったらお前がやれっキッチンと材料費は出してやるからと言ったら無言になった。


 まあこいつに料理スキルなんてものは期待していないので構わん。


「いや~これだけの量の食べ物を食うのは久しぶりですね」


「…お前めっちゃ貧乏してるやつみたいな発言すんなよ」


「何を言ってるです? 貧乏してるに決まってるでしょう。コンビニのアルバイトで食い繋いでるんですよ?」


「いやコンビニのアルバイトだけじゃ無理だろ」


「一応アパートの部屋では内職もしてます、それでもギリギリですけどね」


「……………」


 金がないって話はどうしてしてるだけで心が沈むのだろうか。

 取り敢えず買ってきたおにぎりと納豆巻きを一つずつ多めにこいつの方にやった。

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