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第19話

 まさかダンジョンで時間を潰そうと思ったら矢先に探索者が来やがるとは、俺のステータスにある幸運EXは仕事をサボってるのか?


 どうしてこの不人気ダンジョンに今更俺以外の探索者が来るんだよ。


「くっ! 割のいいバイトだと思ってきてみれば、まさか変質者が住処にしてるとは驚きよ。どこのホームレスか知らないけどダンジョンの中だけには入るんじゃないってのよ!」


 女探索者の割のいいバイトという言葉を聞いて、凡人探索者であった頃の記憶を一つ思い出した。


 この世界はダンジョンがバカみたいに多い、日本だけでも未確認も含めれば二十万、確認されてるだけでも十万以上は様々なダンジョンが存在する。


 そしてダンジョンの中には基本的にモンスターがモリモリいる訳だ。

 ダンジョンが出現した近所の人間から言わせれば恐怖の対象以外の何物でもない。


 当然、当事者様だったら警察だったりに話をして何かしら苦情を言う人間はいるだろうさ。

 その結果、国としてもダンジョンからモンスターが出てこないとは言っても対応せざるえないのだ。


 そもそもダンジョンからモンスターが出てこないというのは今までにそんな例がないだけであって何で出てこないのか、その理由などは正確には分からない。


 単純にこれまで危険がなかったから大丈夫だろうで済ませられる話ではない。


 ダンジョンからモンスターが出て来れば、まず人類にそれに対抗する手段というものがないからだ。

 故にどんなにショボい不人気なダンジョンであろうとも、一度出現した以上は国としては対応せざるを得ない。


 かと言ってそんな万を超える数のダンジョンに警察だとか自衛隊だとかの人間を向かわせて対応するなんてことは現実的じゃない。

 公務員というのは雇って育てるのに時間もお金もかかる存在なのだからな。


 そんな人材を下手すれば人間がぽっくりと簡単に死ぬようなダンジョンに行かせること自体ありえないと言う話なんだよ。


 ならばどうするか。

 決まってるじゃないか。


 二束三文でダンジョンに行きたがる人間を用意して、そいつらにその時だけそれなりの手間賃を払ってバイトとしてダンジョンに行かせるのだ。


 この日本で探索者という存在が多少なりとも税だのなんだので優遇されるのにはこのあたりの事情も関係してくる。


 さすがに公務員にダンジョン突撃させるに比べれば多少優遇された量産型アルバイターをダンジョンに行かせる方がはるかにマシだからな。


 以上が大人の事情でした。

 こういう不人気のダンジョンが溢れるようになった結果、そんなダンジョンを見回るというアルバイトが探索者ギルドでは常時受けられる依頼の一つとして存在するようになったのである。


 それがまさか……俺がこのダンジョンにいるタイミングでバッティングするとはな。

 本当にこの世に神も仏もいないな、或いは実在していてるからこその神殺しへの宣戦布告的な事をしてるのか?


 ならば絶対に許さんぞ、神も仏もぶっ殺してやる、そして社会は腐っているな!


 そんな感じに俺は内心色々なものにケチをつけていた。

 そして現在の俺はと言うと、ダンジョンの中を逃げ回っている。


 当たり前だ、向こうは武器を持ってる探索者でこっちは素手だからな。

 いやっ倒すのは問題ないけどさ、倒したらこっちは完全に犯罪者である。


 現在が軽犯罪なら人間をボコればは重犯罪者側に片足突っ込む所業だからな、とてもじゃないがそんなのになる気は起こらない。


「この全裸の変態がー! やたらと足が速くて気持ち悪いわね、さっさと捕まりなさい!」


「そっちは随分と足が遅いですな! そんな今どきファッションでダンジョンとか舐めプしてっからですか? せめてサンダルよりブーツか運動靴をオススメしまっせ~~」


「……上等ね、絶対に警察に引き渡してやるわ! その前に一発ぶん殴ってやる!」


 なんと言うか、口の悪い女探索者ですな。

 茶髪の長いツインテールと茶色い瞳を持つ年齢は10代後半くらいか、高校卒業してるかどうかくらいの年齢だろう。


 どんな生き方をすればあんなケンカ腰の娘さんが育つのか親の顔が見てみたいですな。

 俺は自分の事は棚に上げ、現代社会の腐り具合を憂いた。

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