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第14話

 青いスライムがポヨンポヨンと俺に向かってくる。


 そして俺に全力の体当たりをかますがステータス差があるので自分がダメージを受けて消滅していくのだ。


 俺はただ立ってそれを見ている。

 スライム達が全滅すればさらにダンジョンの奥へ進みまたスライムたちに自らを攻撃させる。

 それだけだ。


 これだけで月の給料の何ヶ月間分の魔石になるのだから探索者ってのはボロい商売である。

 俺はどうしてあんな会社やコンビニで何年間も働いてたんだろうか。


 たまに本気で分からなくなる時がある。

 バカみたいだ、失った時間は取り戻せないから考えても仕方ないけどさ。


「おっまた来たな、お~いこっちだこっち」


 でもしょうがない。

 世の中ってのは物を知らない人間が損をさせられるように出来てるのだ。

 考えても腹が立つだけなので気を取り直して俺はスライムたちの自滅によるお小遣い稼ぎに精を出す。


 最もいくら精を出しても俺はただつっ立っているだけなんだがな。


 そろそろ帰るか、また帰りにキングスライムが出てきたら間違いなくこの不人気ダンジョンでのキングスライムの出現条件は中で結構な数のスライムを倒す、なんだけどな。


 そう思いながら 俺はまたあのドーム状の空間へと向かう帰路についた。

 そして戻る途中、今回は遠目からでも分かるあのでっかく青いプヨプヨはいなかった。


「……出現状況が違ったのか? まあそんな条件なんて直ぐに分かるわけないよな」


 それとも1体だけのユニークモンスターだったか、いやっアレは普通のキングスライムだったからな、特異個体とかじゃなかったはずだからその線はないか。


「……………!」


 な~んか、変な感じがするな。


 俺は足を止めた。

 何もいないはずの空間に理由もないのに違和感を覚えたからだ。

 いや、はっきり言って嫌な予感っていう方が正しい。


 神殺しの称号(偽だけどな)を持つ俺がこんな感覚に襲われるなんてな……この感覚は気のせいなんかじゃない。


 いるな。

 俺がこんな称号を手に入れる前、平均以下の探索者だった時はダンジョンではモンスター相手だと稀に格上と戦うことがあった。


  まあ正確には戦うんじゃなくて全力で逃げたんだけどな。

 そういうどうしても勝てない危険な連中が突然目の前に現れる時がある、弱い時はそんなモンスターとエンカウトする少し前にこんな空気を何度か感じた。


 その時の俺なら間違いなくキングスライムにも同じ空気を感じていた筈なのだが、『神殺し(偽)』の称号を得た今ならこの前来た時もそんなものは感じなかった。

 しかし今はこれでもかと感じている。


 つまるところ、小遣い稼ぎなんて気分でダンジョンで来たからなのか。なんかしら地雷でも踏んづけちまったか?


 通路を抜けドーム状の空間に入ったその瞬間、俺の後ろの通路のところに魔法陣が浮かんだ。

 それは他の通路の出入り口にも現れる。


「これは中に入った対象を閉じ込める為の結界って所か?」


 ダンジョンがクソみたいに危険だとされる理由の一つにダンジョンの中では稀にこう言う逃げ場を無くす結界が発生する。


 その理由は定かではないらしいが危険度ランクSという、とある漫画で言うところの特級クラスのバケモンが出てきた時だ。

 ドーム状の中央に真っ白な光を纏った魔法陣が現れる。


 その中央から現れたのは……ピンク色の身体を持ち、虹色に燃える炎の翼と光る天使の輪っかを持つ……。


 プルルンプルルンプルルルン!


 そうっスライムが現れたのだ!


「いやっ結局スライムかよ!」


 このダンジョン、本当にスライムばっか出るな…。

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