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第13話

「ふうっなんとか一段落ついたか…」


 『神殺し(偽)』の称号をゲットして少し経った、ダンジョンの方で問題なく稼げることがわかった俺はしばらくのんびりと暮らしていた。


 コンビニのアルバイトをまず辞めた。

 こっちに関しては変わりなどいくらでもいるといった感じの態度のオバさん店長なので問題もなくで辞めさせてもらった。


 ただこのオバさん店長には今宮に微妙なセクハラをしてるあのおやじバイトの事があるのでそこは一言いっておいた、セクハラ嫌いな店長は途端に不機嫌になっていた。

 まあ事実だからさ、後は任せた。


 それ以上セクハラが続くなら辞めるって言ってましたよっと言うと分かったわと返事をしたので後は信じるしかないな、俺に出来る事はそんくらいなので後は今宮にエールを贈るくらいしかできん。


 まあアルバイトを辞める時に引き止めたりとかなかったのはある意味楽だったんで助かったな。


 そして意外とめんどくさかったのが会社の方である、俺が辞めるって事を話したら結構しつこかったんだよなあの七光り。


 まあその理由についてはわかる。

 うちの会社は仕事は忙しい割に低賃金…というか国が定める田舎の方での最低賃金ギリギリだ、月曜から土曜日まで出る割に給料が安すぎる。


 つまりは他になる人間なんていないのである。

 あとあれだ、その七光りについても色々と問題があった。

 そいつが社長しますってなった時点で俺の先輩で軽く二十年以上勤務してた人たちが辞めたくらいだ。


 後は入って一年未満の人間を年末近くにいきなり不当解雇するとか。

 後輩の女性社員がセクハラ被害で辞めるとか。

 ちょっとどころではなく色々あった。


 人は入ってこないのに「会社の方針は利益追従だ」とかいって仕事の量は増えるし、その上で何年経っても1円も給料は上がらない。


 昇進する以前に会社のヒエラルキーは経営者一族とそいつらへのゴマすりがウマイヤツらと普通に働く雇われの3グループしかない。

 そしていくら働いても会社でのぞんざいな扱いも変わらない。


 そんな職場にいる価値ある? ってなるのはごく自然な話だろう、それでまあ辞めるってなると最終的には話し合いといいつつ狭い事務所への半分監禁みたいになった。


 朝から午後の6時過ぎくらいまでそんなだった、はっきり言ってあそこまで無駄な時間を過ごしたことは俺の人生の中でも滅多になかった出来事だった。

 苦痛以外の何ものでもなかったな。


  翌日に俺は退職代行サービスの方に連絡を入れたね、そちらに全てをお任せして現在に至る。


 後は向こうさんから連絡待ちってところだ。

 あの自分が気に入らない事があると会社に置いてある物を蹴り飛ばしては怒って叫ぶ悪癖がある七光りが現在どんな状態にあるのな不明だが近づきたくもない。


 もう二度と関わるつもりもないので別にどうでもいいがな。


 それが年末での出来事である。

 新年前にケリをつけたかったのでイヤイヤながら出向いたが後悔した出来事だ。

 気分が最悪だったので年末年始は寝正月で過ごした。


 俺はダンジョンで一気に稼いだ金があるのでこのところは割とダラダラしてる。

 小金持ちになったからと言ってそんな豪遊とかはしないでちびちび使ってる。


 そもそもそんな高い店にツテがないからというのもある。

 他には日がな一日散歩したり、あるいは自転車を買ったのでそれで行ける範囲内で適当にサイクリングとかして映画館とかに行ってる。


 俺はファッションには興味がない、しかし流行りのキャンプグッズとかを見に行ってしまった。

 その時は使う予定もないランプシェードとか買ってしまったりした。


 釣りや山登りとかも悪くないかもとその手の雑誌を適当に買って読んだりもしたが本格的に始めるかは未定である。


 その雑誌を自転車の籠に放り込んで少し遠くの海に行ったりもした。

 新年早々の砂浜には流石に殆ど人がいない。

 そんな人がいない砂浜を散歩したり腰を下ろして雑誌を読むのも悪くなかった。


 タイパがどうのと言う連中が多いが、俺はこう言う時間を無駄にするという事にも意味がある事を知っている。

 人生に無駄な事なんて一つもないと誰かが言ったがそれは真実だと思うね。


 そして潮風にしばらく当たると冷えるのでさっさと家に帰るのである、そんな感じでのんびりやっていた。

 労働社会から解放されるというのは実に気持ちがいいな。

 心が洗われたね。


 単純にお財布の心配がほぼ必要ないっていう状況条件付きだけどな、お金がない状況で仕事も何もなかったら不安しかない。

 人間社会で社畜として生きてきたからなのか、すっかり毒されているな俺は。


 まあ世の中の人間の大半がそうだ、そしてそんな中で一つ問題が発生した。

 せっかくダンジョンで稼いだ金がそろそろ半分を切ろうとしているのだ。


 俺は持ち金が全部なくなるまでお財布の中身を気にしないなんて性格はしていない、さすがに無一文にはなりたくない。

 持ち金が半分を切ったら気にするタイプの人間だ。


「そろそろもう一回ダンジョンで稼いでくるか…」


 そうと決まれば次に行くダンジョンを考えなければいけない。


 探索者であれば本来は名前があるダンジョンに行くのが普通だ。

 俺が以前向かった不人気ダンジョンみたいに名前すらないダンジョンというのは基本的に格下に扱われる。


 逆に名前があるダンジョンっていうのはそれだけ高難易度で危険、しかし手に入る資源やらお宝やらは文字通り値千金の大当たりとかもあると考えられていた。


 ただ問題がある、そういうダンジョンには探索者が大勢いるので好き放題に活動すると目立つのだ。


 本来探索者って目立ってなんぼな職業なんだけどな、ダンジョン配信とかやってる若者とか特に。


 しかし俺は基本的にのんびり遊んで暮らせるだけの金が手に入ればいいのでそんなのに興味はない。


「……やっぱり近場の不人気ダンジョンに行くか、となるとやっぱりこの前行ったスライムばっかのダンジョンに行くかな」


 行き先が決まったのでその日、俺は家を出て古民家ダンジョンに向かった。

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