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チャラ男コンビが女装少年の漢っぷりに憧れました


 チャラ男達の手によって手作りイヤリングが紛失して泣いていた女の子だったが今は涙も引っ込んで嬉しそうにニコニコと笑っている。その理由は彼女の小さな手で握られているイヤリングのお陰だ。子供達の力になりたいと恥も外聞も捨てて龍太は一緒に草むらをしばし探し、そしてついにイヤリングを見つけてあげれたのだ。当然だがそもそもの原因であるチャラ男二人にも協力をさせた。


 「ありがとうおねえちゃん!」


 無事にイヤリングが戻って来た女の子は無邪気な笑顔と共に礼を述べる。確かに今の自分は完全に女性と見紛う格好をしている。だが本当ならお姉ちゃんではなくお兄ちゃんだと訂正したかった。しかしそうなればじゃあどうしてそんな恰好をしてるのと訊かれかねない。こんな一切濁りの無い純粋な瞳をした子供にどうして女装しているのかなどそんな質問は絶対にされたくなかった。


 自分にお礼を言ったその後、二人は仲良く手を繋いでそのまま公園を後にする。


 決して離れぬように固く互いに手を握り合う二人を見てまた物寂しい気持ちになる。それはきっとあの幼い二人の背中をかつての自分と幼馴染とを重ねているからなのかもしれない。


 しかし子供達を助ける事は出来たがまだ龍太には大きな問題が残っている。それは今の恰好の自分がそれなりに距離のある自宅まで戻ると言うミッションだ。

 そもそもこの公園に逃げ込んだのも人目を避けるためなのだから。とは言え衝動的に家を飛び出してしまった事を考えると今頃家族や恋人も心配している可能性を考慮して早く戻るべきだろう。そう覚悟を決めると意を決して公園の外に出て帰路へとつく事にした。


 だがメイド服状態で恥を晒している彼は予想外の恥の上乗せを味わっていた。


 「おい何ジロジロと見てんだぁ!」


 「見せもんじゃねぇぞ!」


 自宅を目指して街中を歩いている龍太は当然目立つ格好をしているのですれ違う人は皆が一度は自分の方へと目をやる。そのことは龍太も覚悟していたからまだいい。問題なのは自分の〝両サイドに居る二人組〟の方にあるのだ。


 「大丈夫ですよアニキ! 自宅まで俺達がしっかりお見送りさせていただきます!」


 「う、うんありがと…。でも今の僕をアニキと呼ばないでくれるかな?」


 まるで付き人のように自分の両隣を歩きながらチャラ男コンビが親指をぐっと立てる。


 何故この二人が龍太に同行しているのか? この状況は龍太自身にも完全に想定外の事態であった。


 実は子供達のイヤリングを見つけた後にこんなやり取りがあったのだ。


 『『あの…本当に迷惑を掛けてすいませんでした!!』』


 強引にイヤリング捜索を手伝わされて反感を買っているとばかり思っていたので二人が素直に頭を下げて来た事には驚いた。だがそれ以上に驚いたのは次の二人の口から出て来た言葉の方だった。


 『最初はアンタに腹立たしさを感じていた。でも子供の為に必死になっているアンタを見て自分がとても小さい男だって気が付いたんだ』


 『初めて俺達と出会った時もそうだったよな。見ず知らずの女の為に体張ってさ、正直同じ男としてアンタみたいな〝漢〟は嫌いじゃなかったんだ』


 まるで人が変わったかのような物言いにどうリアクションを取ればいいのか分からずたじろいでしまう。だが自分の行いを反省してくれたのなら龍太としても今後は彼等が悪さをしないと知れて悪い気はしなかった。


 『そ、そうなんだ。えっと、じゃあもうこれからはあんなマネしちゃ駄目だからね?』


 そう言ってこの場から立ち去ろうとするがここで二人が待ったをかけて来た。


 『いや、二度も迷惑かけてこのまま帰る訳にはいかねぇ。もしよければ何か俺達に恩返し、いや罪滅ぼしをさせてくれ!!』


 自分よりも年上の青年二人から向けられる熱い瞳に龍太はどう対応すべきか悩む。

 普通ならば「気にしなくてもいい」と言って適当にあしらうのだろう。だがここでも龍太のお人好しぶりが発動、更生しようとしている相手を無下に出来ないと考えてしまったのだ。


 そして彼が思いついたのは自宅に帰るまで自分に同行してほしいと言うものだった。


 1人で街中を歩くよりはマシかと思ったけど大間違いだった。これかえって目立ってる気がするよぉ……。


 何しろチャラ男コンビは自分に好奇の視線を向ける相手にいちいちガンを飛ばしたり噛みついたりするのだ。むしろより視線を集めている気がする。とは言えもう公園を出てしまった以上はどうしようもない。羞恥心を必死に押し殺して二人にエスコートしてもらい自宅まで戻って来た。


 家の付近まで来るとやはり飛び出した自分を心配して自宅付近を捜していた愛美達と都合よく合流できた。その際に愛美は以前自分に絡んで来た二人組に警戒していたがまるで別人のように謝罪と共に頭を下げる二人を見て呆気に取られていた。


 ちなみの送り届けの役目を終えた二人はそれぞれ自分の名前を告げた後に大声でこんな言葉を残していった。


 「「それじゃあ俺達はこれで失礼させてもらいます! これからは〝アニキ〟みたいな〝漢〟を目指して生まれ変わってみせます!!」」


 メイド服を来た女装少年に頭を下げる二人の青年、何ともシュールな絵面に対して陽抱が纏めるようにこう言って場をしめる。


 「龍太ちゃんにまた新しいお友達が出来て嬉しいわぁ~」


 この時は内心もう今度こそあの二人と関わる事などないだろうと思っていた。

 だがこの日から龍太とあの二人との奇妙な関係が継続される事になるのだった。


 ちなみの二人組の名前は剛幡斉藤(ごうまんさいとう)太平扶村(たいへいふそん)らしい。何だか更生を決心する前の彼等に似合っている名だと思ったのは秘密だ。



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― 新着の感想 ―
[一言] 金木くんの今の姿はメイド服…、そして傲慢不遜ペアの[〝アニキ〟みたいな〝漢〟を目指して生まれ変わってみせます]と言うセリフ…、…あ(察し)
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