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ツンデレ美少女と関係が1歩前進しました


 ひとしきり泣きじゃくって冷静になった愛美は頬を膨らませながら園内にある食堂で大量のデザートを注文して食べていた。


 「えっと愛美さん。もうそろそろ許してくれないでしょうか?」


 「ダメ、折角のデートで彼女を泣かせた罪は重いわ。今度はこのチーズケーキを所望します」


 「ふええ、予想外の出費……」


 二人で楽しむはずのデートで不安にさせた報いと言って愛美は昼食時に大量のデザートを龍太の奢りで注文したのだ。デザートの前に頼んだ二人分の昼食代金を遥かに上回る出費に龍太は涙を流しながら軽くなった自分の財布を上下に振ってもう勘弁してくださいとアピールする。


 「お願いです愛美さん。もうそろそろ僕のお財布もギブアップです。それにあまり甘い物の過剰摂取は体脂肪への影響して体重増加にもつなが……」


 「カッチーン。はいデリカシーの無い発言でデザート追加注文決定です。今度はこのチョコレートパフェを所望します」


 「本当にすいませんでした! だからそろそろ慈悲を下さい!!」


 このままでは冗談抜きで財布の中身が全てレジの中にお引越ししかねないと悟り恥を捨てて頭を下げる。


 するとしばし考え込んだ後に彼女は予想外の提案をしてきた。


 「仕方ないわね。じゃあ代わりに別の罰を2つ受けるならここは勘弁してあげる」


 「別の罰…ですか…?」


 一体何をされるのかと不安になっていると愛美はその1つの内容を話す。


 「ほら、前に涼美ちゃんがあんたの女装写真見せてくれたじゃない。あ、あの恰好を私の前でしてくれたら勘弁してあげる」


 「え、えええ!? あんな恥ずかしい恰好を君の前でしろと!?」


 妹の頼みもあって一時の気の迷いで行ったあの黒歴史を恋人の前でもう一度晒す。それはもはや恥と言う概念で済む所業じゃない。

 

 「他の罰じゃだめですか? 正直恋人の前で堂々とあの姿を晒すのは醜態どころではないのですが……」


 「ダメです認めません」


 何とか別のペナルティを受けようと懇願する彼氏の頼みを一蹴する愛美。


 本人は否定するだろうがハッキリ言って龍太の女装はレベルがかなり高い。事情を知らない人間が女装した彼を見たら全員が女性だと言えるほどにだ。ちなみに本人は知らないだろうが愛美はいくつかの龍太の女装写真を涼美から受け取り1日に1度は必ず目の保養にしていると言うヤバい事実がある。


 その後も何とか別の条件を取りつけようとするが全て拒否られてしまい、最後は龍太が折れて後日彼女の前で女装姿を披露する事となってしまった。


 「えっとちなみにもう1つの罰って言うのは何でしょうか?」


 この上さらにえげつない罰を受けるのではないかと身震いしていると何故か急に愛美は頬を染めて俯きだす。


 「もう1つの罰はデートが終わったら発表するわ」

 

 理由は不明であるが何故か残りの罰の内容をデート終了後に話すと言って教えてはくれなかった。


 その後のデートは特に午前中のようなトラブルもなく楽しむことが出来た。

 二人で一緒に色々な場所を見て回り心行くまでデートを楽しむことが出来た。そして時刻も夕暮れ近くになり最後に二人が選んだのは観覧車だった。


 観覧車に乗り込み狭い箱の中で二人きりとなり急に緊張してしまう。


 「いやー遊んだわね。今日は本当に楽しかったわ」


 「うん。また時間ができたら今度はどこに行きたい?」


 「うーんそうねぇ…」


 二人を乗せた観覧車は徐々に高度を上げていき遂に折り返し地点まで到着する。するとここで愛美が遂にもう1つの罰の内容を発表した。


 「ところでお昼に言った事は忘れてないわよね。もう1つ罰を与えるって」


 「うぐっ、憶えています。できる事ならお手柔らかに…」


 楽しく談笑している中に放り込まれた爆弾に龍太の顔が曇る。


 一体何を命令されるのかと内心で身構えていると最初の女装を上回る要求を彼女はしてきたのだ。


 「………キス」


 「え、今何て……」


 一瞬聴き間違えかと思ったがまるでゆでダコの様に真っ赤に染まる彼女の顔色を見れば聞き間違いでないと理解できる。

 

 「……聴こえなかったの? もう1つの罰はあんたからキスする。それが罰よ……」


 それのどこが罰だと言うのかと内心でツッコミを入れるが次の彼女のセリフで何故こんな罰を出してきたのか理解した。


 「か、勘違いすんじゃないわよ。これはあくまで罰であって仕方がない行為なんだからね」


 ああそうか…愛美もやっぱり恥ずかしくて普通に『キスして』なんて言えなかったのか。


 正直どちらかと言えば奥手な自分もこんな建前が無ければ日和って自分からキスをしたいと言えなかっただろう。女性の方から催促させるだなんて我ながら情けない。


 だがここまでお膳立てされてうじうじするだなんてそれこそ彼氏として情けない。そう思うと顔を真っ赤にしながらも龍太はゆっくりと愛美に顔を近づける。


 「じゃ、じゃあ……キスさせていただきます」


 「ぷっ、何よその前口上……」


 もう間も無く観覧車も地上へと到着する間際、狭い箱の中の二人の影が一瞬だけ重なりあった。そしてその瞬間がこの日二人にとって一番の思い出となったのだった。



次話からは元幼馴染が本格的に物語に絡み始めます。そろそろ裏切り幼馴染ざまぁが来るかなぁ……。

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