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君への愛を世界に叫ぶ

   8


 夜の闇に、何千何万という蛍の群れが(つど)っているような光が輝いている。

 装飾性という言葉を憎むかの如く徹底的に排除した近代的な外観の都市……というより、工場群が地上を埋め尽くす勢いで広がっている。建物のシルエットはどれも鋭角的だ。

 その光明に、周囲の岩肌が剥き出しの土地が照らし出されていた。

 螺旋(スクリュー)の首都「中枢(ザ・センター)」は、標高約千メートル山の荒涼とした斜面に築かれていた。

トラックの荷台と運転席を繋ぐ小窓から螺旋(スクリュー)の首都「中枢(ザ・センター)」の威容を目の当たりにし、ヴァンは緊張の度合いを強める。

 国境を越えたときと違い、他国の首都へやって来たという昂揚はない。もう、頭の中はメディアを救出することで占領されている。

 都市の検問所にトラックが到着した。このトラックは、採掘された鉱物資源を中枢(ザ・センター)へと運び込むものだ。それを襲撃して奪取した。

 屈強な体格、武骨なデザインのオートマータが憲兵として立っている。鋼の肌が剥き出しで、人間離れした外見をしていた。

 彼は停止したトラックの運転席を覗き込む。そこには、パガニーニが座っている。彼の顔には、車輛の本来の持ち主の顔の皮膚を剥ぎ取って被せてあった。まったく別人の顔立ちになっている。

 一方、ヴァンとアンジェラは荷台の荷の陰に身を潜めていた。

 憲兵の目が光を発し、数度瞬いた。X線でパガニーニの中身を透視したのだ。

そのことはあらかじめ、パガニーニから聞かされている。そして、問題なく通過できることも――。

「入ってよし」寝惚けた熊のような声で憲兵が告げた。

よし、とヴァンは胸のうちで第一関門突破を噛みしめる。

 ――なぜ、荷台を(あらた)めなかったのか?

 それは、彼らオートマータの特性にある。

 今まで、上の命令を無視する機体は存在しなかったのだ。だから、車輛を運転している者がオートマータなら問題なし――憲兵はそう判断する。

オートマータは、脅迫に屈しない上に死を恐れないため、ホムンクルスが後ろで銃を突きつけているという事態もあり得ない。

 パガニーニは例外で、真のオートマータの主人である人間に遭遇したことで、仮初めの主の支配から逃れている。

 ――都市外れにある倉庫区画へトラックは向かった。


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