94話 小説仲間?
「決まりませんわ・・・・」
思わず溜息をつくシンシア王女。
「あり過ぎですね。1年分あるんじゃないですか?」
そう言いながら積まれたナイティの山を見渡すリンダ嬢―― 無駄に色っぽいナイティの山に囲まれる4人組である。
「最初シンシア様が選んだものはいわゆるマタニティドレスだったから、色気が皆無だったのです。それとは反対の用途のものばかりなのですから、枚数が多いのは当たり前ですわよ」
ロザリアが呆れ顔である。
因みにマタニティドレスは長袖のモスリン素材のシュミーズと似たような形で露出度は皆無。
どうやらそれは間違って混ざった物らしく慌てて侍女が回収して行ってしまった。
シンシア王女、侍女に行動パターンが読まれているようだ・・・
「枚数が多いのは当たり前? 何故?」
「え、汚れたら着替えるでしょう?」
「え? 汚れ・・・」
「えええ?」
「ああ、そういえば」
ぽんと手を打ち鳴らすシンシア王女。
「恋愛小説でそのような描写が御座いましたわね! 思い出しましたわ」
「そうそう、其れですわ!」
ロザリアの知識の宝庫もソコが源泉だったようである。
「「・・・」」
取り残されたのはミリアとリンダ孃になったようだ。
「えーと、そろそろ帰りますね。これ以上遅くなると怒られちゃうので~~」
コソコソと立ち上がるミリアンヌ。
「あら、じゃあ、お爺さまと叔父様に宜しくね」
それを見て微笑むシンシア王女。
「はい、シンシア様もお元気で。陛下に宜しくお伝え下さい」
ミリアが恭しくカーテシーを披露すると、足元に転移魔法陣が広がる。
「それでは皆様御機嫌よう」
そう言うと小さな妖精のような姿が消えてしまう。
「あの方、一体どなたですの? シンシア様のお部屋に居たのでハイドランジアから来た護衛の魔術師かと思ってましたわ」
ポカンと呆けた顔になるロザリア皇女に困った顔で答えるシンシア。
「あの方は神殿の方で、暫くの間護衛をして頂いた方ですわ。隠蔽魔法で姿はほぼ消しておりましたけれど、1度だけ夜会に護衛として付き添っていたので、ロザリア様も1度はお会いしておられますわ」
「そういえば・・・ 居ましたか?」
シンシア王女の顔ばかり見ていたのでどうやら他は覚えていないらしい。
「そうですか。覚えておられないのですね」
ちょっとだけホッとしたシンシア王女である。
「歳の近い子とはあまり接点がないから新鮮だったわ。貴族らしく無くて可愛かったわね。また会えたら良いのに・・・」
「ああ、あの方は確かに貴族ではありませんわ」
それと――
仲良くしないほうが良いかもしれませんよ、恋敵ですからね。
と思ってはいたが、黙って微笑むシンシアとリンダであった。




