93話 陛下予習する
一方こちら皇帝陛下の執務室。
「もうすぐ(1年後)ですなあ婚姻式・・・」
「さようさよう、やっとですな」
「私など嬉しくて眠れません」
「寝不足はお肌の大敵ですぞ」
「私も興奮して朝から味噌汁3杯お代わりしましたぞ」
「減塩ですかなぁ」
「勿論ですよ」
「私はパン派なのでトーストを5枚ほど」
「食べ過ぎですぞ~」
わはははと笑ったりクスンと涙ぐんだり忙しい重鎮達・・・
実に五月蝿いジジイどもである。
一方そんな重鎮たちを他所に1枚の紙を難しい顔で見ているグエン陛下。
「陛下、どうなさったんですか?」
「ああ。これなあ」
宰相が渡された紙に目を通す・・・
「・・・・」
そして目が泳ぐ。
「陛下コレ?」
「コレで何回も倒れたらしい」
「は?」
「不慣れだから俺に顔向けできんと全部読んだらしいんだが、その度に医務室に運ばれたそうだ・・・」
周りのジジイどもが紙を覗き込んで全員がチベットスナギツネに変身した。
そう、例の恋愛小説リスト(R18)である。
「取り敢えず図書館で読んでみるか~」
陛下が立ち上がって音もさせずにスルリと出ていった・・・
「おお、会報にあった例のリストですなあ」
スナギツネ化がとけた宰相が気がついたようである。
「「「ああ、例のアレですか!」」」
全員が会報で知っていたようである。
ヨシ。
××××××××××
図書室で見覚えのあるタイトルを数冊選んで立ち読みをするグエン陛下。
「うわ~~、テクニックえずい。まあ似たことはヤるけど・・・」
おい、オッサン。誰か止めて。
「つうか、倒れる程かな? うーん」
イケオジは以外に恋愛偏差値が高いらしい・・・ 年の功だろうか?
皇族専用のカウチにボスンと座りパラパラとめくり、どんどん読み進めていく。
「ふーん、こんな事するのか~」
元々間諜の真似事をし始めたのが10代の頃で今や30年近くやってる諜報のプロだ。速読は当たり前だし記憶力は無駄に良い上に勉強熱心である。
でないと務まらない仕事でもあるのだが・・・
しかも実践力がキッチリとあるから英雄と呼ばれるのである。
そんなわけで無駄に? 陛下の攻撃力だけは上がっていく。
シンシア王女の運命や如何に――
って。
結婚するに決まっているのだが・・・




