80話 イケオジ驚愕する ✢
「お久しぶりで御座います、グエン陛下」
メルヘンは空中で浮いた状態から、絨毯の上に場所を移動して猫のように座った。
――元々猫だが・・・・
「聖獣殿、驚いたぞ」
グエンが苦笑いをし、公爵は驚いたまま白猫をガン見中だ。
「取り急ぎお知らせがありまして、ご歓談中でしたがお邪魔をさせて頂いた所存です」
「急ぎ?」
「はい。沢山ありますが、いい知らせと悪い知らせ、後どうでも良さそうな知らせの3つが御座います。どちらから報告をお望みでしょう?」
「「・・・」」
グエンとスハイド公爵は困り顔になる。
「じゃあ、最重要事項・・・ とか?」
「わかりました。我が国の王女陛下が拉致された事件の犯人は、グエン陛下との婚姻を望むトリステスの貴族家の娘とその母親の仕業でした」
「「!!」」
「母親はジャージル国王の姪に当たる者で、彼女自身は貴族家の後妻で女当主として現在地位を賜っている者です。但し爵位と名前は不明です」
髭をピクリとさせながら報告するメルヘン。
「彼女らはシンシア殿下と陛下の婚姻を阻もうと策を練り、シャガルの間諜と魔法奴隷を使って王女殿下を拉致後、山小屋に向かったようです。但し私共が殿下を救助した直ぐ後だったようで、小屋はもぬけの空だったと・・・ 拉致した殿下をジャージル国王のもとに送る予定だったと、謁見室で喋っておりました」
バンッ、と音を立てて机に手をつくグエン。
「なんだと?!」
額に青筋が立っているのは気の所為では無さそうだ。
「但しこの計画はジャージル国王の指示ではなく母娘の突発的な独断行動です。しかし彼女らはシャガルの間諜を自由に使える様に国王から取り計らって貰える立場の者のようです。これが1つ目です」
メルヘンは顔を片手で、拭うと
「次の報告はどちらに致しましょうか?」
と2人に冷静に告げた。
××××××××××
「聖獣殿さっきの話しは、3つのうちのどの知らせだ?」
「悪い、です。グエン陛下の国内に碌でもない貴族家が紛れ混んでいる訳ですから。我が国の王女殿下が輿入れする迄に掃除を宜しくお願いしたい所存です」
白猫がお辞儀をするのを見ながら、笑いを堪えるスハイド公爵と憮然とした顔になるグエン陛下。
「じゃあ、良いってのは?」
「シンシア王女殿下が紛い物転移スクロールの事故に巻き込まれ、シャガル王城の牢屋に送られてしまいました」
「「なんだってーッ!!」」
2人の男が同時に立ち上がる。
「既に吾輩により、救出済みでございます」
力が抜けたようにヘナヘナとソファーに座り込む2人。
「心臓に悪い・・・」
呻く陛下を他所にスハイド公爵が
「じゃあ、どうでもいいっていうのは?」
白猫が髭をピンと上げると
「もうすぐ、あと半時程でしょうか? シャガル王国の王城が崩落事故で潰れます。吾輩の調査の結果王城の基礎はほぼ崩落予定の場所にある為免れることは困難かと」
「「は??」」
「まあ、吾輩にとってはどうでも良いことですが、この国の国民にとってはどうなのかは分かりかねますが? どうなのでしょう? 吾輩は猫ですのでその辺りは苦手でして」
「「はあああぁ?!」」
白猫がニンマリ笑ったように見えたのは、彼等の見間違いだったのかも知れない。




