64話 神出鬼没な男 ✢
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ミハイル達三人が後ろを振り返ると、最近馴染みになった、ダークブラウンの長い髪を紐で引っ括った浅黒い肌をした男が片手を『よう』と言いながら立っている。
「あれ? 陛下何でこんなトコにいるんですか」
ミハイルが呆れた声を出す。
「おいおい、陛下はよせ。俺も呼んじゃうぞ聖王殿ってよう」
「ヤメテクダサイ」
グエンのウィンクにミゲルが棒読みで答えた。
××××××××××
「それで? 何だってこんな所にいるんですか」
「そりゃあこっちのセリフだよ」
二人の会話は呆れを含むが友人同士のような気安い会話である。
同席する二人のギルドマスター達は目を細めて、二人の会話の成り行きを見守りながら、先程ウェイターが運んできたコーヒーに手が伸び、味と薫りを確かめる。
「俺の方は以前から此処んちの領主と取引があってな。気がついてるだろうがこの港町だけがシャガルっぽく無いだろ? これって俺たちがテコ入れしてるからなのさ」
「だから住人が豊かなのか~」
「まあ、この国で長期滞在せにゃならん時も有るだろうからってんで、拠点にしたんだよ」
グエンは手に持ったカップから、コーヒーを啜る。
自分の都合で行く先々の環境を変えてしまう強引な手段は大神官とほぼ同じだなと気がついて、ミハイルは苦笑いをする。そんなところが似ているからこそ仲がいいのかも知れない。
「今回の騒動で、シャガルがちょっかいを掛けてきたことを我が国が不満に思ってるのは、まあ想像つくだろううが、実は俺としては傍観を決め込むつもりだったんだよ。この国の先行きが怪しいのは丸わかりだったからな」
そう言いながらガシガシと頭を掻くグエン。
「何かあったんですか?」
「ああ。この国の王弟が俺に助けを求めてきたんだよ。このままじゃ国がヤバいから個人的に知恵を貸してくれってな」
そう言うグエンの顔は例の悪い顔だ。
「シャガルの王弟殿下と親しいんですか?」
「ああ。取引相手だよ。主に輸入関係のな。ここらが豊かに見えるのは彼が俺と直接取引してるんだよ。この事はシャガル国王は知らんよ」
ここに来て、王弟殿下と顔繋ぎができそうな気配がしたギルド組三人である。
「お会いできませんか? 王弟殿下に」
それまで黙っていたギルドマスターのダンが、身を乗り出すようにグエンに詰め寄る。
「おいおい、落ち着けよ」
ちょっとだけ鼻白む皇帝グエン。
「ギルド全体の意向として、この国の王弟殿下と交渉したいとおもっています。これはグランドマスターの依頼なので我々も遂行せざるを得ない案件なのです」
セインが眼鏡の奥で目を細める。
「何とか繋ぎを取っていただけませんか?」
グエン皇帝陛下は溜息をついた。
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