62話 置いてけぼり?
お読み頂きありがとう御座います(_ _)
「何だって、私は留守番なんですかー!!」
ルクス大神殿の奥にある、一室で薔薇の妖精のような美貌の少女が机の上にある教科書の上に顔を突っ伏して大声を出した。
「しょうがないでしょう~、アンタは座学がまだ終わってないんだからさぁ~」
小さなサンタクロースのような老人、ネイサン・ルクスが呆れたような声でため息まじりに呟いた。
「冒険者ギルドに行くって知ってたら、座学なんか・・・」
と、そこまで言いかけてハッとするミリアンヌ・ルクス。
「ほほう・・・ 知ってたら座学がどうしたって~?」
顔を上げると、いい笑顔のネイサンが眼の前に・・・
「あ、いや、あの・・・」
慌てて両手をブンブン振るミリアは、
「とってもいい成績を残したら、ミゲルの所に行ってもいいのよお~」
「・・・・・・」
一瞬で真顔になるネイサンを目の当たりにして、引き攣り笑いになる。
「ミゲルがお土産買ってきてくれるから良い子でお勉強しましょうねえ~~」
「うっ・・・」
××××××××××
そうなのだ、朝出掛けにリンデンのチョコレートをお土産に買ってくるから大人しく留守番をすると約束した後で・・・
「そういえば、何処に行くんですか?」
ふと気がついて、行き先をミゲルに聞くと
「ん? ギルド」
ミゲルが手袋をはめながら振り返ると、いつもの黒髪が茶色に、瑠璃色の瞳が薄茶に変化した。
いつもの定番の冒険者のマントを羽織ると
「じゃあな。ちょっと行ってくる」
と言い残して転移魔法陣を展開しあっという間に消えてしまったのである。
ミリアにとっては、冒険者ギルドの依頼を受けて出掛けるのは、趣味のようなもので楽しみの一つでもあり、彼女が冒険者登録をした後はミゲルとほぼ行動を共にしてきた。
なんだかんだ文句を言いながらもいつも連れて行ってくれるのが普通になっていたのだが、今回初めて置いてきぼりを食らわされて若干ショックを受けてしまった・・・・
「しょうが無いじゃない、今回はミリーにとっては危険な場所かも知れないのよ」
「え~・・・」
「アンタが下手なことしたら足手まといになっちゃうからだーめ」
いつも適当なお爺ちゃんも今回ばかりは行き先を教えてくれないようだ。
しかもこの間の宿題である、結界石に込める神聖力の国ごとの違いをおさらいさせられるという苦行つき。更に言うなら聖王ネイサンの見張り付きである。
『?』
普段と違う対応に首を傾げるミリアだが、この課題が終わらないと自由時間は無いと言われた。
天才的に肌で結界の違いを感じ取れるミゲルやネイサンはミリアと違い聖王になる前から実戦をしていたため戦闘経験も豊富である。言うならば命を危険に晒す事を経験値として積み重ねられているからこそ感じ取れるし、理解も早い。
ミリアが魔獣相手に戦う様になったのは聖女として覚醒した後であり、圧倒的パワーで押し切れるような戦いしか経験していない。良く言えば負け知らず、悪く言えば力ずくだったため、言うならば野生のアンテナみたいなものが発達する暇がなかったのである。
不測の事態を考慮してシャガル絡みに連れて行かない事にされてしまったのだ。
まあ、本来の聖女という存在は戦うのではなく神殿の奥にいるのが普通なのだが・・・
「私もギルドの依頼受けたい~!!」
まあ、こういう聖女様なので・・・・
周りが心配するのも仕方ないのである。




