61話 冒険者達
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シャガル王国にある冒険者ギルドは、王都クラーグにあるが、職員や冒険者達には好かれていない国の1つである。
王国自体が民間のギルドを、商会の一種として受け入れてはいるが、冒険者達は特別この国から恩恵を受けているわけではないし、国の機関である軍と冒険者達は敵対関係に近い。
また、困りごとをギルドに持ちかけて来る裕福層は貴族位だが、其れも数が少ない。
そんな事もあって、他国のギルドに比べるとこの国の国籍を持つ冒険者はほぼ居らず、情報収集と魔道具の販売位しか稼働していないのが現状であるし、現在のこの国に常駐するような物好きの冒険者は居ない。この国より他の国の方がよっぽど儲けになるから――
これはランクに関わらず、全冒険者の共通認識だ。
冒険者になるには、テストに合格さえすればどの国の国民でもなれるのが原則だが、シャガル出身の冒険者は全くいないのはこの国自体が冒険者登録を認めていないからである。
「冒険者になっちまったら、他国に自由に行ける国際身分証が出来ちまうだろ?」
「そ~ね~。それ無いと仕事にならないもんねえ」
答えるのは、魔女の帽子に黒いマーメイドスタイルのドレスを着た女性である。
魔法使いの持つケインを片手で弄りながらソファーの上で膝を組むと、
「この国から逃げて二度と戻ってこなくなっちゃうから、国が冒険者になるのを邪魔してるのね?」
苦笑いをしながら、正面に座る大男に向かってヒラヒラと手を振る。
「まあそういうこったな」
肩を竦める大男はダン。ハイドランジア支部のギルドマスターだ。
その横に座る眼鏡を掛け、如何にも事務職っぽい風貌の背の高い痩せぎすな体型の男、シャガルのギルドマスターであるセインもうんうんと頷く。
「ま、この国のギルドは僕みたいな【魔道具を売る商売人】として割り切れる職員じゃないと務まりませんねえ。其れにここだけの話、マリーさんのような魔法使いの冒険者を国が率先して攫おうとしますからね」
ヒュー、と口笛を吹くのはマリーの座るソファーの後ろの床に座り込んで、ボウガンの手入れをする青年、マリーの弟のジューンと、その横で槍の手入れをするパーティーリーダーのジルである。
「今だにそんなことしてるんだこの国?!」
「前世紀の遺物みたいな国だな」
ジューンは軽く、ジルは重々しくそう答える。
「攫ってどうすんのよ?!」
呆れ顔になるマリー。
「魔法奴隷にするんですよ。奴隷紋を使ってね」
眼鏡のブリッジを人差し指でツイッと上げて眉を顰めるセイン。
「野蛮すぎて、反吐が出るな」
マリーの横に座る大男が、彼女の肩を抱いて眼つきを悪くする。マリーの恋人のサムである。
「うーん、サムさんは魔法剣士ですからまあ、大丈夫ですけどね。流石にギルドに所属する冒険者には手を出さないとは思いますがね、マリーさんとハリーさんは魔法使いなので、特に気をつけて下さい。衣装を変えたほうが良いかもしれないですよ」
マリーは、壁際に立つハリーの如何にも魔法使いといった感じの長い黒のローブを。ハリーは、マリーのとんがり帽子を眺めて、
「「やな国だなあ~」」
と声を揃えると同時に、全員が揃った応接室の真ん中に転移の魔法陣が現れ
「スマン、待たせた」
そう言いながら、茶髪に薄茶の瞳になった、ミハイルが、現れた。
「まだ大丈夫よ、それより今日はミリーミリーちゃんは?」
マリーがワクワクした顔で、ミハイルに言うと、
「今日は留守番だ」
眼つきが悪いミハイル。
「どうしたんだよ? 喧嘩か?」
大剣を磨くビリーがひやかすように声をかけると、睨まれる。
「ひょう~、どうした?」
「この国には連れて来られない訳があってな。あの糞豚を始末つけるまで留守番だ・・・」
ミハイルの表情がなんか怖い・・・ 全員が口をつぐみ、
『『『『『『糞豚?!』』』』』』
そして首を傾げた。




