46話 英雄とのナイショ話し
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「例の間諜騒ぎにどう決着をつけたのかを知りたいというのもあります」
ミハイルがグエンを見つめる。
「一応姪であるシンシアを狙った者達だったのかどうかという事もありますが、神獣が直接捕縛しましたからね。間違いなく全てが間諜だったかどうかあの時の我々では判断が出来ませんでしたので」
「あー、そうだな。魔法便でハイドランジア王家には連絡は入れたが神殿にはまだだったな。申し訳無い」
そう言いながら、グエンが顎に手を添える。
「この場で口頭でも良いのか?」
「ええ」
「間違いなく全て間諜だったよ。後な差し向けたのは、やはりシャガル王国だ」
「ほう」
「シンシア王女だけを狙っての事ではなかったらしいが、賓客が誰かということに対しての探りを入れる目的はあったらしい。船にしろ、陸路にしろ他国の賓客が関所を通った形跡が無いんだからな。どうもその辺りを勘ぐってきやがったらしい」
「ああ。シンシア様は転移門で来ちゃいましたからね。まあ、私達も転移してきましたけどね・・・」
「そういえば御ニ人は自分達だけの魔力で海を渡れるのか?」
「ああ。聖王も聖女も聖獣も、転移出来ますよ。大っぴらに公表はしてませんが。隠しているわけでも無いんですが。まあ、言わなくても良いかなと」
ニッコリと笑う美少女と頷く美青年。
「・・・成程ね」
「シャガル王国ですか。ありがとうございます。コチラも気を付けておきます」
グエンはそう言ったミハイルの瞳に剣呑な光が見えた気がしてちょっとだけ引き攣り笑いをした。
「じゃあ、まだ夜会の時の間諜はこの国に逗まってる可能性もあるから、シンシア様が単身この国へ来るのは良くないですねぇ」
ミリアが呑気にそう言いながら、出された珈琲に遠慮なくミルクをドバっと入れて飲む・・・ 濃かったらしいな、と陛下はこっそり苦笑いした。
「そうだな。夜会に紛れ込んだ奴らだけとは限らんからな。救助に来るなんて事も無いだろうがなあ。蜥蜴の尻尾切りをするにしたってエライ数だからな、何かしら行動があるかも知れん」
グエンもそう言いながら珈琲に口を付ける。
「まぁ宰相が殺気満々でな。ちょっとばかりどうすっか迷ってんだがな・・・」
そう言いながら天井を睨むグエン。
「「ほう?」」
見かけはカワイイ子熊を思い出させる温和な笑顔のシャルム宰相を思い出す2人。
人は見かけによらぬものである・・・
恐っ!
「相手がシャガル王国だからな、ハイドランジアにとってもルクス神殿の聖王殿にとってもあまり嬉しくない相手だろうが。ここだけの話、あの国はもうすぐ経済的に沈む。いや、もうだめだからこそアチコチに間諜を送ってるのかもしれんな」
「沈む?」
「あの国の輸出のキモの鉱山が枯渇してるんだよ。外貨が稼げねえとあの国はパアだ」
両手を天井に向けて上げる皇帝陛下。
「第一次産業を殆ど捨てて自給できねえ国だぞ? 生き残れると思うか?」
「「あ~~~~」」
そう。シャガルは自給率が低く食料の殆どを輸入に頼っている国なのだ。売るための金属が枯渇すれば自ずと経済破綻する。
「国王辺りが逃げる先を探してるのかもしれんなぁ・・・」
「ハイドランジアの魔力の高い子女に婚姻の申し入れをしているのもそれですか?」
「・・・ミハイル様?」
顔、こっわ!
「あー、多分なんだがな、高魔力持ちはある意味どの国に逃げたとしても、こう言っちゃ何だが便利だろう? 水や火も出せるし魔獣だって避けられる。高位の魔法使いなら色々なものも生み出せる。土ん中に眠るお宝だって探し出せるだろ? 更に高位の魔力の持ち主ならスクロールを使わずとも#タダで転移だってし放題だ。あの業突張りなら考えそうな事だな」
「・・・成程」
ミハイルの額に青筋が立って見えるのは見間違いじゃあないなと皇帝陛下は思う。
「だから、シンシア様を狙ってたんですか? あれ、シンシア様はそんなに魔力操作は上手じゃ無かったような気がしますけど? あれ?」
ミリアがクエスチョンマークを沢山出しているのを見て小さな声で
「ひょっとして?」
と、グエンが首を傾げながら言うと、聖王は額に井桁マークを浮かべながら、自分の右手で例の『首チョンパ』の仕草をした。
つまりミリアに下らない戯言が届く前にミゲルが握り潰しているのだろう。
『知らぬは本人ばかり也』のようである・・・・
合掌。
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「シンシア殿にはこちらに来るのはもう少し待ってくれと伝えて貰えるか? 俺からも彼女に魔法便を早めに届ける。ハイドランジア王家には外相が俺の釣書と婚姻の申し込みを正式に送ってるらしいんだ」
「あ、そうなんですね」
「まあ近いうちに俺が直接ハイドランジアには向かうつもりだから」
そう言いながら、皇帝陛下と聖王が握手をする。
・・・そして小さい声で
「あの糞豚は八つ裂きにしても良いかな?」
「地面に大穴を開けるときは、市民は避難させましょう」
と2人の『英雄』と呼ばれた男達がやり取りをしていたのを、にこやかに寄ってきた侍従に差し出されたお菓子の籠に夢中になっていたミリアは全く知らない・・・




