41話 それ、後悔先に立たずって云うヤツ
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ハイドランジアの国王の執務室で顰めっ面で突っ立っているのは、この国の宰相であるエディ・モース侯爵。そして彼の眉を顰めさせる原因はこの国の国王であるフィリップ・ハイドランジア国王陛下である。
「陛下、我儘言ってないで。政務なんですから」
「ヤダ。だって南大陸なんか遠いじゃないか」
「何を言ってんですか!」
「こないだ皇太子にウチの上位貴族のご令嬢が嫁いだばっかりじゃん!」
「・・・まあ、確かにそうですけどそれとこれとは違いますよ」
「トリステスばっかり優遇してるって言われちゃうじゃん!」
「? どういう事ですか?」
「・・・・・」
「陛下?」
「う・・・」
ぷるぷるしながらへの字に口を引き結ぶ国王フィリップ・・・
「だって、アイツ嫌いなんだもん!」
「・・・陛下?」
「たったの5歳違いの義理の息子なんてヤダーーー!」
「あっ、ちょっとアンタ! どこ行くつもりですか! 仕事してくださいよ!」
執務室から逃げ出そうとドアに向かって走り出そうとする陛下がドアノブを触った途端に『バーンッ』と効果音付き? で急に開くドア。
「あなた! 大変よ!」
ゴンッ!!
「ブヘッ!」
そう、執務室のドアは部屋の中に向かって開くドアだったのである。
日本家屋の引き戸は安全だなあ・・・
××××××××××
「で? 王妃様、どうなさったのですか? 先触れもなくノックもせず・・・まあ、取り押さえる手間が省け・・・ゲフンゲフン、おっと本音が・・・」
宮廷医に顔の打ち身を診察されている国王陛下を横目で見ながら宰相が王妃に問う。
「それがね、嫁ぐ気は一切無いって言い張ってたシンシアがトリステスの皇帝陛下から婚姻の打診があったのを教えたら顔を真っ赤にしちゃって、満更でもなさそうだったのよ~ って、ちょっとフィルもエディも私の言ってる事、真面目に聞いてるの?」
王妃の言葉に顎が外れそうなくらい大口を開けてポカンとする宰相と、白目を剥いて気絶しそうな国王陛下。
「え、じゃあシンシア様が婚姻の打診を受け入れるおつもりということですか?」
「まだ判らないけど脈アリってことだわねえ」
「じゃあ、お断りの書状を用意しなくても良いんですかね? 今ソレを書かそうとして陛下を宥めてた所なんですけど」
宰相の言葉にアレ? という顔になる陛下。
「モース? ワシ、断りの書状書く予定だったのか?」
「え、だってシンシア様は婚姻はしないとお聞きしてましたからね」
「アレ? ワシの勘違いだった?」
「一体何を考えてたんですか?」
胡乱な目を向ける宰相。
「いや、一応グエン殿は南大陸の覇者だし皇帝だし、断れないと思ってたんだけど・・・」
「陛下、お断りする理由さえあれば良いんですよ。シンシア様は今や研究職でハイドランジアには必要な#要人__ブレイン__#であり、国外には出すつもりはないという書状をこの1年近くアチコチに出して来たでしょうが。私はソレを書いて頂くつもりだったんですが・・・」
「え、そうなの?」
「何を勘違いしてるんですか」
外交的に考えるとフィリップ国王陛下の考え方が実はマトモ。
しかしモース宰相としてはシンシア王女が奇跡的とも言える破格の運動音痴であること、社交に無関心であること、そして国益を担う研究者であること等を鑑みて婚姻無効の対処をこの1年やってきた為、トリステス帝国に関してもこれまでと全く同じ対処をするつもりだったらしい。天晴。
エディ・モース宰相ある意味国王以上に厚顔である・・・
ま、破天荒なハイドランジア国王一家に毎日振り回されている為、このくらいじゃないと付き合いきれなくなるのかもしれないが・・・
「・・・スイマセン」
何故か陛下がショボーンで、どういう訳か宰相は平気な顔である・・・なんだかなぁ~ である。
「アラ、でも困ったわね。ソレだと他国の王族の手前グエン様とも婚姻を結べないじゃないの。本人は満更でもないのに?」
「「あ」」
「まあ、確かに以前はシンシアが絶対に婚姻しないって突っぱねてたから仕方ないのだけど・・・」
3人共がチベットスナギツネの顔になった・・・
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